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『CLUB SEVEN another place Ⅱ』内海啓貴×蒼木陣インタビュー:“腕利き揃い”のエンタテインメントに、“全力で”初参加

(左)内海啓貴 神奈川県出身。2013年舞台デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』で人気を博す。近年の出演作に『1789~バスティーユの恋人たち』『ミセン』『ロミオ&ジュリエット』等がある。 (右)蒼木陣 大阪府出身。2013年舞台デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』舞台『刀剣乱舞』シリーズ、舞台『鬼滅の刃』シリーズ等で人気を博す。近作のミュージカル『SONG WRITERS』ではベンジャミン役で好演。


より抜きのエンターテイナーたちが、ソング&ダンスに芝居、タップ、ミュージカル、スケッチ…と、多彩な要素を詰め込んだ舞台でとことん魅了。2003年の初演以来、多くのファンを魅了してきたエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』が22年目を迎え、今年は『CLUB SEVEN another place Ⅱ』のタイトルで上演されます。

お馴染みのレジェンド4人(玉野和紀さん、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さん)に加え、原田優一さん、北翔海莉さん、妃海風さんという“つわもの”たちが集うなか、今回初めて出演するのが、内海啓貴さん、蒼木陣さん。それぞれ確固たるキャリアを重ねていますが、この布陣においては最若手とあって、どんなフレッシュな風を吹かせるのか、注目されます。気合十分、稽古でも確かな手応えを掴んでいる様子の二人に、たっぷりお話いただきました。

 

『CLUB SEVEN another place Ⅱ』

 

“何歳になっても青春は出来る!”と気づかされ、
元気がもらえるステージ

 

――お二人は以前にも共演されたことがあるそうですね。

蒼木陣(以下・蒼木)「ミュージカル『テニスの王子様』で一緒でした。さっき、アッキー(内海さん)が読者プレゼントの色紙に書いていた“下剋上”という言葉が、その作品で彼が演じていた役の名台詞です」

内海啓貴(以下・内海)「9年前ですね。僕はまだ22歳くらいだったのかな。あっという間だね」

蒼木「“テニミュ”以来の共演になります。アッキーは卒業して少ししてから、ミュージカルの世界に挑戦していって。僕が本格的にミュージカル作品へ出演するようになったのは30歳頃からなので、そういう意味では、ミュージカルの世界ではアッキーは先輩です」

内海「何を言っているんですか!(笑)」

蒼木「こういう作品に出るんだ、これも出てる、いやすごいなあ、と。しっかり土台を重ねて一歩ずつ歩んでいるな、と思っていました」

 

――今回共演されて、お互い、こういう俳優さんなんだなと、新発見された部分はありますか?

内海「今回新たな面も拝見していますが、変わらない部分の方が多いですね。彼はやっぱり誠実で真面目だし、(プレゼント用色紙を指さして)この字の綺麗さ!」

蒼木「ありがとうございます(笑)」

内海「字に内面が滲み出てます。稽古場で、みんな休んでいる時に後ろで練習している姿は、テニミュ時代から全然変わらないですね。

陣くんは先輩だったのと、当時は最寄り駅が近かったこともあって、稽古からの帰り道も一緒で、いろいろ悩みを聞いてもらいました。今も現場での佇まいとか、先輩に対するリスペクトであったり、人情に厚い部分、そういうところがすごく勉強になります。

あと、陣くんの周りは重力が半分なのかというくらい、軽々と動くのは、尊敬しかないです!」

蒼木「ありがとうございます(笑)。アッキーはこの9年間で、まず歌が抜群に魅力的になっているよね。もちろんテニミュの頃から素敵だったけど、今回、彼が何気なく口ずさんでいる歌声を聞くだけで、きっとミュージカルの現場ですごくいい影響を受けてきたんだなぁ、と感じます。現在地が動いてるぞ!と。

いっぽうで、とっても人なつっこいところは変わりません。むしろ以前よりも人懐こくて、僕は稽古ではどちらかというと視界が狭くなるけど、彼は“この靴下、かわいいでしょ”なんて言いながらありのままでいてくれて。僕は肩の力が抜けてリラックスさせてもらっています」

 

――コミュニケーション能力が高いのですね。

内海「自分では全然気にしたことないんですけど、よくそう言われます。つい話しかけてしまうんです。たぶん、人が好きなんだと思います。僕にないものを持っている人に興味を持ちますね。

今回僕は最年少だけど、30歳ぐらいになってくると、いわゆる中間管理職のようなポジションになってきます。後輩の方からよく、コミュニケーションのとりかたを相談されるのですが、自分では意識したことがなくて。今回も(西村)直人さんとよく野球の話をしたりしています」

 

――お二人はもともと『CLUB SEVEN』とご縁があったのですか?

蒼木「共演歴でいうと、(『るひま』シリーズで)ゆうちゃん(原田優一さん)とはご一緒したことがありますが、それ以外の方は初めましてです。

僕はもともとブレイクダンスや器械体操をずっとやってきましたが、今回、玉野さんから“タップダンスはいくつになっても出来るよ”とおっしゃっていただいたのがすごく印象的で。これから30代後半にさしかかっていくにあたって、歳を重ねて役者を続けていくために、武器を増やせるきっかけになるんじゃないかなと感じています。

以前、地球ゴージャスさんの舞台でもタップダンスをやったことがあったのですが、今回2度目ということで、もっとちゃんとタップと交わってみたいなと思い、玉野さんのスタジオに行って、個人的にしっかり教えていただきました。

あと、ジャズダンスも年々、好きな気持ちが増しているので、今回ジャズダンスともっと仲良くなれたらと思っています。

『CLUB SEVEN』はいろいろなことに挑戦できる場なので、自分の引き出しを増やせたらいいですね」

内海「僕はある役をやりたくてタップを磨こうと思い、玉野さんのダンススタジオに通うことにしたのですが、スタジオを訪ねた初日に、“内海さんですよね? 今、『CLUB SEVEN』の出演者を一人探しているのだけれど…”と、タップダンス初日にスタッフの方から持ち掛けられました(笑)。

その時はスケジュールの都合で出演出来なかったのですが、実際の舞台を見せていただいて、めちゃくちゃ面白くて。“次の機会、ぜひお願いします!”とお話したら、今回の出演に繋がりました。

僕も陣くんと同じで、スキルアップというか、コツをつかめればいいなと。すでにいろいろ教えていただいて、かなり掴んできています。ジャズダンスもありますし、タップもあるし、アイドルの振付もあるし、何でもありで、こんな舞台、そうそうないですよね。振付は曲ごとに全部違って、指を細かく使うところもあれば、ダイナミックに踊るところもあって、学べる環境にいてありがたいなと感じています」

 

――恒例のミニ・ミュージカルも出来上がっている段階でしょうか。

蒼木「ひととおりの形はできて、それを掘り下げている状況です」

内海「音楽が上がってきたのが1週間くらい前で、翌日すぐ立ち稽古で、結構マッハなスピードで進んでいます(笑)」

 

玉野和紀さん。2024年『CLUB SEVEN another place』より。写真提供:東宝演劇部


――腕利きの皆さんが集まっているからこそ、ですね(笑)。今回初参加ということで、ご自身の引出しを玉野さんにアピールされたりも?

内海「アピールしました。去年、自分のLIVEがあったのですが、そこで『Take 5』(有名なジャズ・ナンバー)を吹きたいと思って、テナーサックスを買ったんです。音色がとても好きで憧れていたので、この機会に、と。目標があると頑張れるタイプなので、LIVEまで4か月しかなかったけれど、猛練習して演奏しました。

そのLIVEの様子を撮った動画を玉野さんに見ていただいて、4か月でこれくらい吹けるようになったというところを知っていただきました」

蒼木「僕は稽古が始まる前に玉野さんから“アクロバットだとどういうことができる?”と訊かれ、アクロバットと、あとはブレイクダンスだとこういうことができますと動画に撮って、見ていただきました。その結果、舞台に取り上げて頂くことになったので、アピールしてよかったなと思いますし、新しいこともどんどん取り入れていく玉野さんって素敵だな、と思いました」

 

吉野圭吾さん。2024年『CLUB SEVEN another place』より。写真提供:東宝演劇部


――共演者はどなたも“凄腕”の方々ですが、特に憧れる方はいらっしゃいますか?

蒼木「皆さんそれぞれに武器があって、芝居のスタンスも違うし、ダンスの表現の仕方もみんな違って素敵なんですけど、現場での姿勢という面で、今回、吉野圭吾さんとご一緒できてとても良かったなと思っています。

レジェンドと呼ばれるベテランの方なのに、圭吾さんは稽古が始まる1時間も2時間も前に現場にいらっしゃって、お1人で黙々と汗流して、振りの確認とか、芝居の確認をずっとされているんですよ。もちろんご自身が しっかり稽古をされたいのと、やっぱり、作品をよりよくしたい思いがあるのだと思います。その姿を拝見して、こうあるべきだと日々教わっていますね。努力を重ねる大先輩と共演させて頂くのは、とてもありがたいです」

 

東山義久さん。2024年『CLUB SEVEN another place』より。写真提供:東宝演劇部

内海「最近僕は、30代ってすごく大事だなと感じています。俳優を続けていくために何が必要かなと考えていると、今回共演させていただく方々はそれぞれ突出したものをお持ちなんですよ。何か1つ極めると、“すごい”と“面白い”が共存するんですよね。笑いながらもリスペクトを感じるというか。

特に憧れるのが、義さん(東山義久さん)。ふら~っと稽古場に入ってきて、“じゃあやるか”と言ってすぐに本格的なパフォーマンスが出来るんです。

(西村)直人さんはすごく視野が広くて、お芝居にしてもダンスにしても、ここの空間が空いてるなぁと思ったら、そこに必ず入っていかれる。僕にない武器をたくさん持っている方々なので、皆さんを見て勉強しながら、僕の武器は何だろう、と自問自答しています」

 

西村直人さん。2024年『CLUB SEVEN another place』より。写真提供:東宝演劇部


――『CLUB SEVEN』では玉野さんによる“無茶ぶり”も名物ですね。たいがい若手の方が振られますが、稽古場でも展開されているのでしょうか?

蒼木「やってますよね」

内海「既にハリセンも登場しています(笑)。実際には、生のリアクションというのはお客さんがいてこそだと思いますが、どんなモノマネのお題が来てもいいように、いろいろ準備したりはしています」

 

――蒼木さんも、近作の『SONG WRITERS』ではそこはかとなく愛嬌のある役を演じていらっしゃいましたし、関西出身の方なので、笑いのセンスに期待されている方も多いと思います。

蒼木「センスは無いですが…(笑)、有難うございます。
僕は何年か前にお世話になった演出家さんから、『必ずしも声を出して笑ってもらう必要はないんだよ。大きな声が出なくても、心が動く瞬間っていっぱいあって、その中でくすっと笑ったり、じんわり感動したりする。だから、無理に面白いことをしなくていいんだよ』…と言われて、勇気づけられたんです。なので、今回もそこで“生きている”ことができれば、お客さんは心を動かしてくれると信じて、もがいているところです」

 

『SONG WRITERS』(2024年)写真提供:東宝演劇部


内海
「“笑い”で言えば、原田(優一)さん、巧いですよね」

蒼木「優ちゃんは笑いの線引きがすごく上品!」

内海「そう、上品。あんなに崩していても」

蒼木「人を嫌な気持ちにさせないものね」

内海「芸術だよね。行きすぎたらダメだけど、そこに行かないと面白くないというドンズバがわかっているもの。笑いって難しい…」

 

――『1789 -バスティーユの恋人たち-』のデムーラン役で内海さんのファンになられた方が本作でいろんな笑いに挑んでいる内海さんをご覧になったら、衝撃を受けるかもしれませんね(笑)。

内海「『1789』の時は真面目な革命家でしたからね。稽古中に一度ふざけてしまった時、(演出の)小池(修一郎)さんに“それはデムーランはやりません”と言われまして(笑)、笑いは一切封じていました。今回は内海啓貴全開です」

 

『1789 -バスティーユの恋人たち-』(2025年)写真提供:東宝演劇部


蒼木
「皆さんの知らない一面を見せられたらいいよね」

内海「『CLUB SEVEN』って、嘘がつけないですね。変にかっこつけても寒いし、面白くなくなってしまうかも。僕らはありのままの自分を先輩たちに料理していただくのが一番だと思います」

 

――読者の中には、『CLUB SEVEN』をご覧になったことのない方もいらっしゃるかと思いますが、この舞台を簡潔に表現するとしたら、どういう言葉になりますか?

内海「僕は“全員野球だな”と思います。例えば1幕のスケッチは、主役になったり脇にまわったり、みんながそれぞれの役割を全力でまっとうしています。僕は初めて見た時、笑いながら泣いていました。みんなの汗が格好良く見えて、いくつになっても青春を感じられる舞台で泣けたのでしょう。そこが『CLUB SEVEN』の魅力だなと思います」

蒼木「みんなで汗を流せるって、とっても健やかだよね。僕は初めて観た時、1幕のスケッチだけでもシュールなものからかっこいいミュージカル・ナンバーがあって、いっぽうではハリセンを持ったお笑いが出てきたりして、まるでフルコースの料理、それもいろんな料理が食べられる。1幕が終わった段階で既に満腹なんだけど、2幕はさらに大きなフルコースが出てきて、どこまで楽しめる作品なんだろうと思いました」

内海「僕も2幕で五十音順メドレーを観た時、あのテンポ感でキャストの方々がどんどん出て来て、思わず一緒に息を切らしながら観ていました(笑)」

蒼木「爆笑したりほろっとしたりしつつ、最後に笑顔で帰っていただける作品だなと思います。僕ら出演者も多幸感が溢れるし、お客さまも同じ気持ちになれるのではないでしょうか」

内海「客席から観ていた時、“どんな稽古場なんだろう。どうやって稽古するんだろう”と思ったけど、今、(出演者になったことで)その謎解きをさせてもらっている感覚です」

 

――実際、どんな順序でしたか?

内海「初参加の僕らの稽古から始まりました。オープニングとか、毎回恒例の振りをまず教えていただいて、皆さんと同じペースにしてくださってから、全員でまず五十音順の振りを入れて、スケッチをやって、また五十音順に戻って通して…。こうやって作っていくんだな、まず振りを入れるんだということがわかりましたが、覚える事が沢山ありすぎて、家に帰っても何から復習していいかわからないんです(笑)」

蒼木「わかる~(笑)」

 

――踊っていて振りを忘れる瞬間はあったりしますか?

内海「ありますよ! 踊っていて間違えたところを復習して直したら、また新しいところを間違えて…いったいいつ出来るようになるんだろうって(笑)。フォーメーションも難しいんですよ。縦の番号、横の番号がしっかり決まっていますから。僕はふだん、お芝居だと他の(共演の)方との距離感で“だいたいの位置”を体に入れていくのですが、今回はきっちりとその番号通りに、というのが難しくて」

蒼木「他の作品だとバミリが1番、2番、3番…という感じで貼られているけど、今回は“じゃあ、陣ちゃん1.75に立って”という感じで(笑)、すごく緻密に、立ち位置を調整していただいています。

それをやっていくことで、後方のお客様、2階席のお客様から、俯瞰して見るとすごくフォーメーションが綺麗と言ってもらえるんだよと嬉しそうに先輩方がおっしゃっていて、それだけの積み重ねをされて来た方たちに、これからもついていきます!」

 

――現時点で、どんな舞台になったらいいなと思われますか?

内海「『CLUB SEVEN』を初めて観た時、先程も言いましたが何歳になっても青春はできると感じたし、“明日も頑張ろう”と思いました。今回のお客様にも、同じ気持ちになっていただけたら。

そして玉野さんもよくお話しになるのですが、何よりも大事なのは、全力でやること。間違ってもいいから自分らしく、全力でやってほしいとおっしゃっているので、先輩たちの胸を借りて、自分らしく頑張っていきたいです」

蒼木「お客様を含め、全員で笑って終われたらいいなと思います。 そのために今、稽古期間でいっぱい失敗して、もがいて苦しみながら創ってゆきたいです。自分が本当にCLUB SEVENの仲間入りをしたなと実感できるのは、本番に入って、舞台に立った後なのかなと思うんですよね。お客様と一緒に、みんなで笑って駆け抜けられたらいいなと思っています」

 

――ちなみに蒼木さん、今日の髪型がちょっと80年代アイドルを彷彿とさせるのですが、もしかして本作のためのヘアスタイルですか?

蒼木「昨日切ったばかりなんですけど、量を減らしただけです。でも確かに今回、アイドルっぽいこともやるので…」

内海「しっかりアイドルがなじんでるよー」

蒼木「良かったです(笑)」


(取材・文=松島まり乃)
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*公演情報『CLUB SEVEN another place Ⅱ』10月4~14日=有楽町よみうりホール、10月24~25日=サンケイホールブリーゼ 公式HP

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