Musical Theater Japan

ミュージカルとそれに携わる人々の魅力を、丁寧に伝えるウェブマガジン

2024-01-01から1年間の記事一覧

『太鼓たたいて笛ふいて』観劇レポート:戦争に正面から向き合う。作家・林芙美子の覚悟

1969年に本格的に演劇界デビューして以来、70作近い戯曲を執筆し、戦後日本の演劇を語るうえで欠かせない存在である井上ひさしさんの作品群のうち、音楽劇の2作が、期せずして同時期に上演。本稿では、作家・林芙美子の後半生を大竹しのぶさん、福井晶一さん…

『翼の創世記』観劇レポート:蘇る“夢中の日々”の輝き

『マタ・ハリ』『フィスト・オブ・ノーススター』等で知られる石丸さち子さんが、長年あたためてきたライト兄弟にまつわる物語を、石丸さん自身の脚本、森大輔さんの音楽で舞台化。実力派キャストが渾身の演技を見せる舞台をレポートします。

『ラブ・ネバー・ダイ』平原綾香インタビュー:“運命の歌姫”クリスティーヌを、さらに深く。

ロイド=ウェバーの代表作の一つ『オペラ座の怪人』の結末から10年後を描く『ラブ・ネバー・ダイ』が、6年ぶりに上演。2014年の日本初演からクリスティーヌを演じ続ける平原綾香さんに、本作との出会い、現時点での作品理解や今回の抱負をじっくり語っていた…

失われゆく、心の青空。J・テソーリが放つ衝撃のオペラ『グラウンデッド』が映画館で限定上映

『VIOLET』『モダン・ミリー』等で知られる作曲家、ジニーン・テソーリの最新作はオペラ『グラウンデッド』。戦闘機パイロットからドローン操縦士へと転身した女性が苦悩を深めるさまをリアルに描く、衝撃作です。10月のNYメトロポリタン・オペラでの公演を…

新星・波多野翔と新作ミュージカル『OZ』プロデューサーに訊く:韓国の作り手たちと手を携えたプロジェクトが発進

2000年の映画『シュリ』配給以来、様々な韓国コンテンツを日本に紹介してきたアミューズ。彼らが現地のクリエイターとタッグを組み、ミュージカルを創り上げるプロジェクトがスタートしました。その第一作で、ソウル、上海で上演後、11月に日本版が上演され…

工夫と“楽しむ心”で作り続けて四半世紀。わらび座の“スーパー小道具さん”、平野忍に訊く

華やかな舞台の実現には様々なスタッフの支えが不可欠ですが、彼らは日々、どんな作業をしているのでしょうか。年間約600ステージを上演する「わらび座」の小道具を、26年間にわたって一人で作って来た“スーパー小道具さん”こと平野忍さんに、これまでの歩み…

『天保十二年のシェイクスピア』綾凰華インタビュー:野望渦巻く劇世界で”愛に生きる”女性、お冬

江戸の侠客講談と英国のシェイクスピア劇37作品を掛け合わせ、エネルギッシュな音楽劇にまとめあげた『天保十二年のシェイクスピア』。井上ひさしさんの“野心作”とも言われる本作が、2020年に続き藤田俊太郎さんの演出で上演されます。今回、新キャストとし…

『翼の創世記』鈴木勝吾インタビュー:誠実な清らかさの宿る“夢追い人たちのドラマ”を生きて

“空を飛ぶ”ということが夢物語でしかなかった時代に、たゆまぬ努力で飛行機を発明したライト兄弟。彼らの波乱に富んだ人生を描く三人ミュージカルで、兄と弟の二役を回替わりで演じる鈴木勝吾さんにインタビュー。彼の本作への思いと俳優としての矜持を、た…

『You Know Me~あなたとの旅~』横山清崇、東山光明、吉田純也インタビュー:“昭和を生きた女性たち”に思いを馳せて

昭和から令和の時代を生き抜いた女性二人を描く、実話に基づく新作ミュージカル『You Know Me~あなたとの旅~』。女性の友情がリアルに描かれた本作について、演出の横山清崇さん、出演の東山光明さん、吉田純也さんに、男性の視点から語っていただきました…

『You Know Me~あなたとの旅~』樋口麻美&吉沢梨絵インタビュー:“生まれてきてくれてありがとう”と思える、親友との人生の旅

訳詞家、脚本家として活躍する高橋亜子さんが、自身の母の体験をもとに描く、女性二人の友情の物語。優しい気持ちを呼び覚ます新作ミュージカルで主人公の二人を演じる樋口麻美さん、吉沢梨絵さんに、劇団四季時代の思い出から本作の印象、深く共感せずにい…

ストレート・プレイへの誘い『裸足で散歩』観劇レポート:“新婚夫婦の最初の危機”をユーモラスに、味わい深く描く

ニール・サイモンの初期の傑作で、新婚夫婦が迎える最初の危機をふんだんな笑いと共に描く『裸足で散歩』が、2年前に続き、加藤和樹さん主演で上演。“愚かしくも真剣で愛に満ちた人々”の舞台をレポートします。

『セツアンの善人』観劇レポート:混沌の世界で“善良さ”は貫けるのか

搾取が横行する世界で“善良”であり続けようとするヒロインを描いたブレヒト劇を、白井晃さんが初演出。ふんだんに音楽を織り交ぜ、葵わかなさん、木村達成さんらがエネルギッシュに演じる舞台をレポートします。

『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』山崎大輝インタビュー:“二人芝居”だからこそ出来ること

幼馴染のトーマスとアルヴィンは、進学によって離れ離れに。作家として成功したトーマスは、アルヴィンの死を知り、彼に手向ける言葉を探そうとするが…。二人の絆を丹念に描いた人気作が、3年ぶりに日本で上演。新キャストとしてアルヴィンを演じる山崎大輝…

『ニュージーズ』2024観劇レポート:少年たちの“思いの強さ”が、希望をもたらす物語

実話に基づく新聞少年たち(ニュージーズ)の物語を、アラン・メンケンの音楽で舞台化し、ブロードウェイで2012年に開幕。2021年の日本版初演も好評を博したミュージカルが、3年ぶりに帰ってきました。主人公ジャックを岩﨑大昇さんが演じる、2024年版の舞台…

『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』小野塚勇人インタビュー:“小さな羽ばたき”が人生を変える

友人の訃報をきっかけに蘇る、かけがえのない日々。二人の様々なエピソードを110分で描く二人ミュージカルが、日本で三度目の上演を果たします。今回、新キャストとして登場する二人のうち、トーマス役を演じる小野塚勇人さんへのインタビューをお届けします…

『燃ゆる暗闇にて』観劇レポート:純粋な生徒たちが“幸福に生きる世界”に投じられた炎

盲学校を舞台に「幸福」の真偽を問う、スペインの劇作家アントニオ・ブリオ・バリェホの戯曲が、韓国でミュージカル化。田中麻衣子さんの演出による日本初演をレポートします。

『ジャングル大帝レオ』上演中! 秋田から“今、求められる舞台”を発信し続ける「わらび座」を訪ねて

秋田新幹線・角館駅からほど近い「あきた芸術村」を拠点に、多彩な舞台を発信し続ける「わらび座」。手塚治虫さん原作の新作ミュージカル『ジャングル大帝レオ』をロングラン中の劇団を現地に訪ね、主演のお二人にじっくりお話をうかがいました。

松竹ブロードウェイシネマ『アーネストに恋して』主演ヴァレリー・ヴィゴーダ  インタビュー:思いをシェアできる人は、きっとどこかにいる。

寝不足のシングルマザー音楽家が、前世紀の探検家と時空を超えた冒険の旅に出る⁈ 奇想天外なストーリーとユニークな音楽、出演者の芸達者ぶりが絶賛された快作が、海外ミュージカルを映画館で楽しむシリーズ「松竹ブロードウェイ」に登場。本作の生みの親で…

『CLUB SEVEN another place』観劇レポート:至福の“エンタメ玉手箱”2024年版が開幕

ソング&ダンスに芝居、タップ、ミュージカル、スケッチと多彩な要素を取り入れ、2003年の初演以来、多くのファンを魅了してきたエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』が、21年目に突入。『CLUB SEVEN another place』のタイトルで開幕した舞台をレポ…

『イン・ザ・ハイツ』2024インタビュー:世界初の女性版“ピラグア屋”役を演じるMARU、グラフィティ・ピート役でミュージカル初挑戦の世界的ダンサーKAITA

9月22日に待望の日本再再演が開幕した『イン・ザ・ハイツ』で、世界で初めて女性としてピラグア屋を演じるMARUさん、グラフィティ・ピート役でミュージカルに初出演の世界的ダンサー、KAITAさん。作品世界で確かな存在感を放つお二人に、開幕直前の某日、手…

『イン・ザ・ハイツ』2024 松下優也インタビュー:作品の“根っこ”を胸に、“人のために生きる”ベニーに再び、挑む

2021年の映画版も記憶に新しい『イン・ザ・ハイツ』の日本初演に、ベニー役で出演した松下優也さんが、10年ぶりに同役に復帰。愛着ある作品に対する真摯な思いから、ご自身の“生き方”、その信条に至るまで、「激深」に語って下さいました。

『イン・ザ・ハイツ』2024 豊原江理佳インタビュー:ラテン・コミュニティで躍動する“ちょっとスナビー”なヴァネッサ

リン=マニュエル・ミランダの出世作で、2021年には映画化もされた『イン・ザ・ハイツ』の再再演が、まもなく開幕。念願叶って今回、主人公ウスナビが憧れる女性ヴァネッサを演じることになった豊原江理佳さんに、作品への熱い思い、そして本作の音楽の魅力…

大ヒット映画をミュージカルに。『プリティ・ウーマン』来日版が開幕

1990年に公開されて世界的な大ヒットとなり、ヒロインを演じたジュリア・ロバーツを一躍スターダムに押し上げた映画が、『キンキーブーツ』のジェリー・ミッチェルの演出・振付でミュージカル化。今回、初の来日公演となった本作をご紹介します。

ストレート・プレイへの誘い:『ロボット』朝夏まなと&渡辺いっけいが語る、一世紀前に書かれた予言的な衝撃作への挑戦

およそ1世紀前に書かれ、「ロボット」という語の語源にもなったチャペックの戯曲を、ノゾエ征爾さんの演出で上演。科学の進歩によって作り出された幸福な世界は、いつしかディストピアに転じてしまい…。心優しいヒロイン、ヘレナを演じる朝夏まなとさんと、…

Reading Musical 『BEASTARS』観劇レポート:獣たちの“彷徨う青春”

その猛々しい外見とは裏腹に、内気な主人公の青春を通して、深いテーマが浮かび上がる漫画『BEASTARS』が、多彩な音楽に彩られたリーディング・ミュージカルとして舞台化。一つの役を「声の表現者」「身体による表現者」の二人で演じるというスタイルが特徴…

『RENT』観劇レポート:“過去も未来も無い、今”を生きる若者群像を、日米合作で描く

プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』にインスピレーションを得て、現代の若者たちの切実な生きざまを描き、世界各地で愛されてきた『RENT』が、日米合作という形で上演。マーク役を26年ぶりに山本耕史さんが演じることでも話題の舞台をレポートします!

『ピーター・パン』2024観劇レポート:幸福な“遊びの時間”が続く世界【親子で観たい!2024夏の舞台④】

【親子で観たい!2024夏の舞台】シリーズを締めくくるのは、1981年以来、44年目の上演となる『ピーター・パン』。昨年からの続投で長谷川寧さんが演出・振付をつとめ、山﨑玲奈さんがタイトルロールを演じる2024年の舞台を通して、本作が長く愛されてきた理…

音楽劇『空中ブランコのりのキキ』咲妃みゆ&松岡広大インタビュー:不思議な童話世界を存分に楽しんで【親子で観たい!2024夏の舞台③】

中学の国語の教科書でもお馴染みの『空中ブランコのりのキキ』など、別役実さんの童話数本を再構築した音楽劇がこの夏、誕生。サーカスのわくわく感の中にどこか不思議な空気が漂う作品について、主演の咲妃みゆさん、松岡広大さんにじっくり語っていただき…

親子で楽しめる“体験型ミュージカル”『PLAYISLAND ももたろう』レポート&小林遼介インタビュー【親子で観たい!2024夏の舞台②】

子どもを観劇デビューさせたいけれど、大丈夫かな?と不安のある方にお勧めしたいのが、「遊び」「観劇」「ミュージカル体験」が同時に出来るイマーシブ・ミュージカル。渋谷真紀子さんの作・演出でオーストラリアで初演、今夏東京で上演される『PLAYISLAND …

音楽劇『死んだかいぞく』観劇レポート:シンプルで深い“生と死のメッセージ”【親子で観たい!2024夏の舞台①】

世代を超えて楽しめる作品が多数登場する夏休み。お一人様のみならず、家族での観劇にもお勧めしたい演目を厳選してご紹介します。第一弾は下田昌克さんの人気絵本を舞台化した音楽劇『死んだかいぞく』。8月末まで各地を巡演中です。