Musical Theater Japan

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大ヒット映画をミュージカルに。『プリティ・ウーマン』来日版が開幕

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


1980年代のLA。NYから出張中の実業家エドワードは、ハリウッドの街角で道に迷い、コールガールのヴィヴィアンと出会う。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


ビジネス・ディナーの同伴女性が必要な彼は、ヴィヴィアンと一週間の契約を結び、高級ホテルに滞在。無邪気で屈託のない彼女に惹かれる。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


いっぽうでヴィヴィアンも自分の知らない世界を教えてくれるエドワードに心惹かれるが、“プロ”として唇にキスはしない(=本気にはならない)と心に決めていた。

二人の関係はどう発展してゆくのか…。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


1990年に公開されて世界的な大ヒットとなり、ヴィヴィアン役のジュリア・ロバーツを一躍スターダムに押し上げた映画が、ゲイリー・マーシャル監督自らの脚本(J.F.ロートンとの共同脚本)、『キンキーブーツ』のジェリー・ミッチェルの演出・振付、今回が初ミュージカルとなるシンガーソングライター、ブライアン・アダムズとジム・ヴァランスの作詞作曲で舞台化。2018年にブロードウェイで開幕したミュージカルが、初来日を果たしました。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


(シカゴでの世界初演、またブロードウェイでの開幕時のヴィヴィアン役はサマンサ・バークス。『Chess The Musical 』(2020年)で来日し、日本のミュージカル・ファンにもなじみの深い存在です)

 

『プリティ・ウーマン』手前左がハッピーマン ©Marino Matsushima 禁無断転載


企業買収で巨額を稼ぐ男性と、高校を2年で中退し、ダメ男との恋愛がきっかけで理想的とはいえない人生を送ることになった女性。接点のなかった二人が、ビジネスと割り切って一週間を共に過ごすうち、互いに影響を及ぼし、新たな人生に踏み出して行くまでを描く、『マイ・フェア・レディ』系プロットの作品です。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載


映画の名場面も差し挟みつつ進行してゆく今回の舞台で特に見逃せないのが、狂言回しと“マルチマン”を兼ねたような存在、“ハッピーマン”。演じるアダム・デュ・プレシスさんが、オペラパレスの巨大空間も狭しとばかりにエネルギッシュに歌い踊り、支配人役では懐の深い演技を見せています。他にもオペラの指揮者、ピアニスト役などで鮮やかな七変化を披露。支配人とホテルの新人(?)スタッフ、ジュリオ(コナー・カバットさん)との関係性も気になるところです。

 

『プリティ・ウーマン』ヴィオレッタ役で美声を聴かせるのは、サラ・ワンさん。©Marino Matsushima 禁無断転載


また2幕では、エドワードとヴィヴィアンがオペラを観に行くシーンで、アンサンブル俳優が豊かな声量で『椿姫』を披露。思いがけない見どころ(聴きどころ)となっています。

 

『プリティ・ウーマン』©Marino Matsushima 禁無断転載



なお、今回の音楽は上記の通りオリジナル楽曲のため、映画版の公開とともに人気が再燃したロイ・オービソンによる“あの”スタンダード・ナンバーは(基本的に)なかなか演奏されませんが、カーテンコールでいよいよ登場。“恥ずかしがらずに一緒に歌いましょう!”と、歌詞(の一部)をキャストが纏い、楽しませてくれる趣向となっています。

 

『プリティ・ウーマン』カーテンコールで歌詞を纏っているのは、ジュリオ役のコナー・カバットさん。©Marino Matsushima 禁無断転載


(取材・文・撮影=松島まり乃)

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*公演情報『プリティ・ウーマン』9月11~16日=新国立劇場オペラパレス、9月18~23日=TACHIKAWA STAGE GARDEN、10月4~6日=東大阪市部名k創造館Dream House 大ホール 公式HP