
歌にダンスにスケッチ等々、多彩な要素が満載のエンタテインメント・ショーとして、2003年にスタート。
以来、脚本・構成・演出・振付も担う玉野さんと、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんの4名から成る“レジェンド”メンバー、そして腕利きのキャストが繰り広げてきた『CLUB SEVEN』が、今年は(東京では)有楽町よみうりホールにて上演。『CLUB SEVEN another place Ⅱ』のタイトルにて開幕しました。

早くも22年目に突入した『CLUB SEVEN』は、今回もお馴染みのユーロポップ調のナンバーにのって、メンバー全員がシャープに踊り、スタート。同じ振付で踊っていても、それぞれニュアンスが異なるのは、“役”でなく出演者自身のダンスが観られる“ショー”ならでは。またキメの構図が毎回、微妙に異なるのも、“お楽しみ”の一つです。(参考:2024年版、2021年版、2019年版)

オープニングに続いては、都会の喧騒をよそにタバコをくゆらせる男が軽やかにタップを踏み、その音に誘われるようにサックス奏者が登場。言葉を交わさずにタップとサックスがセッションをするひとときを、玉野さんと、今回初参加の内海啓貴さんがさらりと演じています。内海さんは初参加にあたり、サックス愛を玉野さんに自らアピールし、それが実ってセッションが実現(インタビューはこちら)。渋みのある音色は玉野さんのタップと相性もよく、今後『CLUB SEVEN』出演の度に定番となる予感も。

続いては某J-POPの有名曲を、元・宝塚歌劇団星組トップスターコンビの北翔海莉さん、妃海風さんが息もぴったりに、パンチを効かせながら歌唱。バックできびきびと踊る男性陣とともに、場内をヒートアップさせます。

そしていよいよお待ちかねのスケッチ集。ショート・ショート小説のような“ひねり”のあるドラマや、荒唐無稽なシーンが続き、とぼけた演技とダンディな空気感を自在に使い分ける吉野圭吾さん、期待に違わず(⁈)突如華麗なダンスを見せる東山義久さんはじめ、全員が振り切った演技で笑わせます。

かと思えば、夫婦愛をモチーフとしたスケッチも登場。病床の妻を夫が献身的に支え、息子も懸命に母の回復を祈る姿を、玉野さんと北翔さん(以前にも夫婦役を演じていることもあり、言葉を交わさずとも心が繋がっている様子がうかがえます)、そして本シリーズ初参加の蒼木陣さん(純朴な青年を好演)が、本シリーズ4回目の出演となる原田優一さんの切々たるボーカルに包まれながら描き出し、場内に“優しい時間”が流れます。また某時代の某国がモチーフの大作ミュージカル経験者が多い今回ならではの、“あの世界の再来?”感が楽しいシーンも。

やはりお馴染みの愛されキャラ、玉子(玉野和紀さん)とニャンコ(西村直人さん)のトークや、俳優の底力が問われる(⁈)無茶ぶりコーナー(この日、突然振られた妃海風さんは瞬時にリアクション!)を経て、一幕は爽やかな歌唱で締めくくり。既に1時間半を超えるボリュームです。

休憩を挟み、玉野さんの呼び出しでお揃いのTシャツを着たメンバーたちが一人ずつ現れ、“一言”を語った後は、お待ちかねの「50音順ヒットメドレー」。“あ”から“ん”まで、様々なヒット曲の、その音で始まるフレーズ(今年は歴代最長101曲!)を、9人のメンバーが怒涛の勢いで歌い、踊り継いで行きます。

ひたすら曲が続くわけではなく、途中、とある歌謡番組の一コマが差し挟まれたり、やはり恒例のキャラクターの大暴れがあったり。一瞬の不意を衝いて、某人物に扮した西村直人さんが愛嬌たっぷりの笑顔とともに現れる場面も。ごく短いシーン一つ一つにもこだわりの衣裳、小道具、大道具が用意され、スタッフのひとかたならぬ『CLUB SEVEN』愛もうかがえます。

終盤には額に汗を浮かべれるメンバーもいるなかで、メドレーは無事にゴールへ。歌い、踊り尽くした後で全員がアカペラで声を合わせる某ナンバーがすっと心に染み入り、暗転の後、ジャケットを纏ったメンバーたちが、オープニングのダンスを再現。凄腕のパフォーマーたちが妥協せず、全力で魅せる3時間半は、圧倒の後に爽快な後味を残します。

(取材・文・撮影=松島まり乃)
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*公演情報『CLUB SEVEN another place Ⅱ』10月4~14日=有楽町よみうりホール、10月24~25日=サンケイホールブリーゼ 公式HP
(1幕のスケッチはAとBのバージョンごとに一部異なります。公式HPでご確認ください)