Musical Theater Japan

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『マチルダ』嘉村咲良・熊野みのり・寺田美蘭・三上野乃花インタビュー:本が大好きで“ちょっと特別”な女の子の活躍をお楽しみに!

『マチルダ』タイトルロールを演じる(左から)嘉村咲良さん(2013年生まれ)、熊野みのりさん(2011年生まれ)、寺田美蘭さん(2013年生まれ)、三上野乃花さん(2013年生まれ)。🄫Marino Matsushima 禁無断転載

理不尽な大人たちに立ち向かう5歳の少女を描き、各国で大ヒット中のミュージカル『マチルダ』が間もなく、日本でも開幕。1000人以上が参加したオーディションで選ばれたタイトルロールの嘉村咲良さん、熊野みのりさん、寺田美蘭さん、三上野乃花さんに、マチルダを演じたかった理由や今、稽古で取り組んでいること、お勧めの見どころなど、のびのびと語っていただきました。

【あらすじ】愛情の薄い家庭に育ちながらも、想像力が豊かで読書を愛する5歳の少女マチルダは、小学校に入学。しかしそこは、校長のミス・トランチブルが子供たちを恐怖で支配する、監獄のような場所だった。憤ったマチルダは不思議な能力を使い、理不尽な大人たちに仕返しを試みるが…。

『マチルダ』海外版より。

――ミュージカルを始めたきっかけを教えてください。

三上野乃花(以下・野乃花)「幼稚園の頃に『ライオンキング』というミュージカルを観に行って、ダンスや歌にとても感動しました。私も舞台に出てお客様に感動してほしいなと思って、ミュージカルを始めました」

熊野みのり(以下・みのり)「私も初めてミュージカルを観た時、舞台の上で輝いている俳優さんを観てとても感動したので、自分も皆さんに感動を届けたいと思いました」

寺田美蘭(以下・美蘭)「幼稚園の時に『キャッツ』を観て、歌って踊れるすごい猫がいる!と思いました。その猫たちは人間だったんですけど(笑)、本当の猫みたいな演技が素晴らしくて、私もいつか、お客様を驚かせるような素晴らしい演技ができるようになりたいと思って、ミュージカルを始めました」

嘉村咲良(以下・咲良)「私は『ひめゆり』というミュージカルを観て、すごいな、私もいつか舞台に立ちたいな、と思ってレッスンを始めました」

――『ひめゆり』には戦争の様子や、滝軍曹という怖い軍人が出てきますが、怖くなかったですか?

咲良「ちょっとびくっとなりましたが、大丈夫でした」

マチルダ(嘉村咲良)

――今回なぜ『マチルダ』のオーディションに挑戦しようと思いましたか?

美蘭「私はたまたま『チョコレート工場の秘密』と(本作の原作である)『マチルダは小さな大天才』(注・2冊ともR・ダールの作品)を読んでいた時にこのオーディションのことを知って、こんなに素晴らしい作品のオーディションがあるなら受けたいと思って挑戦しました」

――すごいタイミングでしたね!

美蘭「はい(笑)」

野乃花「私は主役を演じるのが夢だったのと、子供が活躍する作品に出てみたくて、この作品は子供が主役で子供がたくさん活躍するので出たいと思いました」

咲良「従兄弟がこのオーディションのことを教えてくれて、原作を読んでみたら本当に面白かったし、家族たちにも勧められたので受けました」

みのり「以前、動画で『マチルダ』の楽曲に触れたことがあって、素敵な曲だな、と興味を持っていました。今回、このミュージカルのオーディションがあると聞いて“絶対受けなきゃ”と思いました」

――オーディションではどんなことが大変でしたか?

咲良「課題の台詞や歌を、短い期間で覚えるのが大変でした。台詞は長いし、歌もリズムが難しかったです。台詞は歩いてるときも生活してるときも口に出しながら覚えました」

みのり「私も課題曲がとても難しいなと思いました」

美蘭「短い時間で覚えなければいけなかったので、小節ごとに分けて曲を覚えました」

野乃花「マチルダは図書館でミセス・フェルプスという人に“お話”をしてあげるのですが、その長いお話を家で覚えるのが大変でした」

――改めて、『マチルダ』というお話の第一印象を教えて下さい。

みのり「ひどい大人たちがたくさん出てくるのに、マチルダをかわいそうと思わせないで、面白おかしいお話になっているところが素晴らしいと思いました」

野乃花「面白かったり嬉しかったり悲しかったり感動したり、いろいろな場面が出てきて、きっとお客さんが楽しめるミュージカルになるなと思いました」

美蘭「本を読んだ時に、お仕置きの場面が出てきてちょっと怖かったのですが、そのお仕置きの内容が、普通の人では考えられないようなことで、面白くて、楽しいなと思いました」

咲良「原作に出てくる登場人物がみんな個性的で、校長先生も両親もすごく面白いと思いました。そして、理不尽なことに子供たちが立ち向かってやっつけるのが気分爽快だし、感動するし、何回読んでも飽きないです」

――マチルダという女の子について、“私も同じだな”と共感できるところはありますか?

みのり「本好きなところが似ていると思います」

マチルダ(熊野みのり)

美蘭「特別な能力を持っているところ以外は、私に似ていると思います。自分の意見を持っていて、それを人に伝えられるし、本が大好きなところも同じです」

咲良「原作の中でマチルダは“本は自分を新しい世界に連れていってくれる”と言っていますが、私も本が大好きなので、そう思います。あと、理不尽なことに対して“それは正しくないよ”と言えるところも同じです」

野乃花「本が大好きなところも似ているし、どんなことでもあきらめないところが共感できます」

――みなさん、読書がお好きなのですね。どんな本が好きですか?

美蘭「『名犬ラッシー』のような、冒険するお話が好きです」

みのり「『指輪物語』のようなファンタジー系や、ロアルド・ダールさんの本が好きです」

野乃花「冒険をするお話や、金子みすゞさんの詩が好きです」

――“みんな違ってみんないい”で有名な「わたしと小鳥とすずと」とか?

野乃花「はい」

咲良「私は、この世には存在しない、不思議なものが書かれている本が好きです。例えば、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』という本は駄菓子屋の話なのですが、これを買うと頭が良くなるとか、不思議なものがたくさん売られているんです」

――そうなんですね。『マチルダ』に戻りますが、“私もできたらいいな”と憧れる点はありますか?

咲良「マチルダには特別な能力があるので、それを使って美味しいものとか、お洒落な服とか、世界中から自分の欲しいものを集めたいです!」

みのり「私も彼女の特別な能力に憧れます」

美蘭「私は、その能力を算数に使いたいです。もしそんな能力が私にあったら、難しい計算も簡単にできて、算数博士になれるなと思います」

マチルダ(寺田美蘭)

野乃花「もし正しくないことをしていたり、意地悪な大人がいたら、マチルダみたいに“それは正しくない”と言って正すことができたらなと思います」

――この作品には“ぎちぎち”という怖いものが出てきますが、皆さんには怖いものはありますか?

美蘭「死ぬのが怖いです。だから健康第一で頑張っています」

――その若さで…!

美蘭「はい。運動しています」

咲良「私はお化けが怖いので、部屋を暗くしないようにしています。寝る時は、ちょっとだけ明るくしています」

みのり「私は真っ暗にしているよ! 怖いものは何もないです」

野乃花「私は木村(達成)さんや大貫(勇輔)さんや小野田(龍之介)さんが演じているトランチブル校長が怖いので、マチルダになりきって立ち向かっています」

『マチルダ』海外版より。

――まだ稽古でメイクも衣裳もつけていなくても、怖いですか?

野乃花「はい。トランチブルに入り込んでいらっしゃるので、怖いです!」

――稽古ではどんなことが楽しかったり、難しかったりしますか?

野乃花「(各シーンを)通して稽古する時にはとても楽しくてわくわくするのですが、シーンの作りはじめは台詞と動きを合わせると頭がごちゃごちゃしてしまうので、それが難しいところです」

マチルダ(三上野乃花)

咲良「マチルダは心の中ではいろいろ考えているのですが、それを表に出さないところが難しいです。あと、マチルダはあまり笑わない子なのですが、私はすぐ笑ってしまうので気をつけています」

美蘭「振付も歌も難しいですが、振付家の方が、踊っていて自然に生まれた手の動きを取り入れてくれたりするので、みんなで作品を創っている感じがして、凄く楽しいです」

みのり「先生たちがやさしく、ていねいに教えてくれるので、難しいことも楽しく取り組むことができます」

――先生方に言われて“もっと頑張るぞ!”と思えた言葉はありますか?

野乃花「歌唱指導の先生から“声がよく出てるよ”と言われた時に、自信がついて、もっと歌を頑張ろうと思いました」

みのり「(振付補の)ルイーザ・タルボットさんから“みのりは日々成長してるよ”と言われたことがあって、“もっと頑張ろう!”と思いました」

――お客様に対して、“特に楽しみにしていてほしい”というシーンはありますか?

美蘭「残念ながらマチルダはいないのですが(笑)、最後のほうのダンスナンバーがすごく盛り上がると思うので、楽しみにしていただけたら嬉しいです」

みのり「マチルダが歌う“クワイエット”というナンバーです。この歌の前に、マチルダはトランチブル校長に対して、“それは正しくない”と、先生の前では普通使えないような言葉を使って、大騒ぎになるのですが、ぱっと静かになって、美しいメロディが流れてきます。そこに歌声が乗って、きれいな音楽になると思います」

咲良「マチルダが図書館でフェルプスさんにお話をしてあげるのですが、これがすごく重要なお話なので、よく聞いてみてほしいです。あと、マチルダが自分の気持ちを初めてわかってくれたハニー先生に抱き着くところも、大事なところなので、注目してほしいです」

野乃花「クラスメイトの子が大変なことになって、みんなで応援するシーンです。ダンスをしながら応援していくのが難しいのですが、みなさんに楽しんでもらえたらなと思います」

――どんな舞台になったらいいなと思いますか?

みのり「観に来てくれたお客さんが、“よかったな”“すごかったな”“また観に来たいな”と思ってくれる舞台に、みんなでしていきたいです」

美蘭「個性豊かなキャラクターたちを個性豊かなキャストが演じるので、世界に一つしかない『マチルダ』が出来あがるといいなと思います」

咲良「素晴らしい作品なので、イギリスでロングランしているように、ずっと続くような舞台になったらなと思います」

野乃花「今、クリエイティブスタッフさんたちと、難しいけど楽しい稽古を重ねているので、お客様が感動できるような舞台になったらいいなと思います」

――みなさん、将来の夢はミュージカル俳優でしょうか?

(全員、笑顔で頷く中で)

(左から)嘉村咲良さん、熊野みのりさん、寺田美蘭さん、三上野乃花さん 🄫Marino Matsushima 禁無断転載

美蘭「私は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演じたいです。英語も勉強しています」

咲良「私は将来『マチルダ』でミス・ハニーをやって、ミセス・ワームウッドをやって、そしてミセス・フェルプスを演じたいです」

――そこまでこの作品がお好きなんですね。

全員「はい!」

(取材・文・撮影=松島まり乃)
*無断転載を禁じます
*公演情報 Daiwa House presents ミュージカル『マチルダ』3月22~24日プレビュー、3月25日~5月6日=東急シアターオーブ 5月28日~6月4日=梅田芸術劇場メインホール 公式HP