青を基調とした書棚が印象的な大豪邸。クリスマス・イヴの朝、一人また一人と一族の女たちが集まるが、メイドのルイーズが主人マルセルの刺殺体を発見。状況から侵入者は無く、今ここにいるうちの誰かが犯人ということになる。次第にそれぞれの秘密が露呈する中で、8人の女たちは疑心暗鬼に陥って行くが…。
1961年にパリで初演。2008年にはフランソワ・オゾン監督によって映画化され、日本でも何度か上演されてきたロベール・トマの人気戯曲が、演出に板垣恭一さん、出演に宝塚のOGたちを迎えて上演中です。
見どころは何と言っても、華やかなさこの上ないキャスト(マルセルの妻ギャビー役=湖月わたるさん、ギャビーの妹オーギュスティーヌ役=水夏希さん、マルセルの妹ピエレット役=珠城りょうさん、メイドのルイーズ役=夢咲ねねさん、マルセルの長女シュゾン役=蘭乃はなさん、次女カトリーヌ役=花乃まりあさん、ギャビーの母・マミー役=真琴つばささん、ベテランのメイド、シャネル役=久世星佳さん)。宝塚在団中にトップ(もしくはトップ娘役)を極めたスターたちが、十川ヒロコさんによる赤や紫系の衣裳をスタイリッシュに着こなしつつ、それぞれに秘密を抱えた各キャラクターに凛とした存在感を与えています。
板垣さんの演出のもと、豊かな表情、惜しみない動きに加え、時には歌うような台詞まわしを駆使して物語をぐいぐいと展開する彼女たち。昨今の世相を想起させなくもない“暴露”の応酬に人間の性(さが)を滲ませつつ、息つく間もなく思いがけない結末へと向かう密室のミステリー劇です。
(取材・文・撮影=松島まり乃)
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*公演情報『8人の女たち』8月27日~9月4日=サンシャイン劇場、9月9~12日=梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 9月3日にライブ配信(3日間のアーカイブ付)を予定。公式HP