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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』観劇レポート:腕利きのキャストが魅せる“エンタテインメント玉手箱”

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』より。きめのポーズは例年、ほぼ同じですが、前回公演からは微妙な変化が見られるのも興味深いところ。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

玉野和紀さんが作・演出・振付を担い、ダンスに歌、ミニ・ミュージカルにスケッチと、多種多様な内容が楽しめる舞台『CLUB SEVEN』。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』より。玉野和紀さんの軽やかなタップも見逃せません。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

2003年の第一弾から上演の度に話題をさらってきた人気シリーズの最新作にして、2017年以降、原点回帰した構成でタイトルに“ZERO”を加えたシリーズ第三弾が、レジェンド・メンバー(玉野さん、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さん)と準レギュラー的存在(⁈)の大山真志さん、妃海風さん、そして凰稀かなめさんという強力な布陣で上演中です。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』スケッチより。東山さんの鋭い眼光の理由は…⁈(C)Marino Matsushima 禁無断転載

スタイリッシュなオープニングに始まって、ダンス、スケッチ集、再びダンスナンバー、歌…と盛りだくさんの一幕に、ミニ・ミュージカル、全員トークから恒例の“五十音ヒットメドレー”に至る二幕…という流れは、例年同様。“お馴染みの流れ”で安堵感を与え、観客には純粋に“今年のネタ”を楽しんでもらおう、という意図が感じられます。

スケッチ集では時流をとらえたあんなパロディ、こんなシーンが登場。ちりばめられたギャグには無邪気なものが多く、コロナ禍のストレスフルな日々に疲れた人々にはちょうどよい加減の他愛なさと言えましょう。腕利きの出演者たちが惜しみなく、全力で取り組む“おふざけ”が、観る者の心の凝りをみるみるうちにほぐして行きます。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』より、お馴染みのキャラクター、玉子とニャンコ。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

その前後のダンスでは一瞬にして空気が変わり、“大人のムード”をさらりと醸し出す振付を、キャストがそれぞれのニュアンスで表現。特にナンバー終わりの“きめのポーズ”には個性が顕著にあらわれ(特に東山さん)、見逃せません。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』より、ニュアンスたっぷりのダンスナンバー。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

2幕のミニ・ミュージカルは“ミニ”とは言え、ヴィジュアルも本格的。中世ヨーロッパのとある王国で起こる事件を、程よいスリルとともに描きます。主演の凰稀さんは“仕掛け”のあるヒロインを的確に描き出し、妃海さんもアクの強い役柄で芝居心を発揮。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』ミニ・ミュージカルより。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

今回のテーマとなっている“地球防衛軍”をイメージしてデザインされたという公演Tシャツに身を包み、玉野さんのリードで皆のお人柄が垣間見えるトークの後は、お待ちかねの“五十音ヒットメドレー”。

五十音順に、該当するひらがなで始まる歌を、スケッチ的なシーンやギャグを織り込みながら、怒涛の如く歌い継いでゆくコーナーです。

最新ヒット曲はもちろん、CMソングに懐かしいアニメ主題歌と、多種多様なナンバーが続々登場。

一瞬の笑いのために作りこまれた小道具・映像の数々にも驚かされますが、一つ一つに手を抜かず、長大なコーナーを駆け抜けてゆくキャストのエネルギーが、毎回のことながら驚異的です。

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』五十音ヒットメドレーより。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

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『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』五十音ヒットメドレーより。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』五十音ヒットメドレーより。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

そしてコーナー終了直後に、皆が声を揃えるアカペラの美しさ。実力・キャリアともに充実のキャストだからこそ実現可能なこの舞台は、この初夏、最も無邪気な笑いと絶え間ない感嘆とを、観客に届けてくれることでしょう。

(取材・文・撮影=松島まり乃)
*無断転載を禁じます
*公演情報『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』6月6日~25日=シアタークリエ、6月28日=日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、7月3~4日=梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 公式HP