Musical Theater Japan

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『SHOWTIME』観劇レポート:華やかに届ける“舞台の夢”

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

2008年から日本で、12年からはブロードウェイでも度々『シカゴ』に主演している米倉涼子さんと、19年に『ピピン』に主演した城田優さん。ボブ・フォッシー作品(ブロードウェイ初演を演出・振付)に所縁のある二人が共同でプロデュース・構成・演出をつとめ、森崎ウィンさん、JKimさん、大澄賢也さん(兼・振付)、日替わりのスペシャル・ゲストとして中尾ミエさん、前田美波里さん、そして選りすぐりのダンサーたちとともに繰り広げるショーが開幕しました。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

心浮き立つ曲調の“Willcommen”(『キャバレー』)に乗って米倉さんが城田さんを(お茶目な趣向で)呼び入れ、二人でオーケストラとキャストを一人ずつ紹介した後、本編がスタート。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

米倉さん扮する歌姫サリーが女性たちと妖艶に歌い踊る“Mein Herr”(『キャバレー』)に始まり、城田優さんが敏腕弁護士ビリーとして悪の華を咲かせる“All I Care About”(『シカゴ』)、来夏にピピンを演じる予定の森崎ウィンさんと前回公演で同役を演じた城田さんのデュエットが貴重な“Corner Of The Sky”(『ピピン』)等、前半は“フォッシー作品特集”の趣です。

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『SHOWTIME』巨大なLEDパネルに映し出された美しい空をバックに城田さん、森崎さんが“Corner of the Sky”を披露。(C)Marino Matsushima 禁無断転載

60年代に流行したツイストのヴァリエーションである“フラグ”を取り入れた“Rich Man’s Frug”(『スウィート・チャリティ』)、丸めた背中に内股、黒帽子という“フォッシー・スタイル”が炸裂する“Steam Heat”(『パジャマ・ゲーム』)も登場。フォッシー・ダンスの魅力も存分に味わえるプログラムとなっています。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

中盤を過ぎたところで(この日の)スペシャル・ゲスト、前田美波里さんが登場。主人公の祖母バーサが“今を生きること”の大切さを説く“No Time At All”(『ピピン』)を朗らかに、味わい深く歌い上げ、2年前の日本公演の感動が蘇ります。続く“Cabaret”では変わらぬ脚線美とショーマンシップを披露し、“Hot Honey Rag”(『シカゴ』)では米倉さん、前田さん、08年の韓国公演でヴェルマ役を演じたJKimさんという圧巻のスリーショットが実現。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

トークを挟み、後半のプログラムはより多彩に。今夏の話題作『ジェイミー』から一足早く森崎さんが“The Wall In My Head”を披露、またJKimさんが“Impossible Dream”(『ラ・マンチャの男』)をパワフルに歌い上げるいっぽうで、城田さんは『Once』の“Falling Slowly”を米倉さんとデュエット。城田さんが舞台手前、米倉さんが階段上に座って歌うことで主人公たちの距離間が暗示され、思い合いながらも結ばれることのない男女のドラマがこの一曲に見事に凝縮されました。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

最後に全員で歌われたのは、オリジナル・ソング“SHOW MUST GO ON”。今回の舞台を象徴するアイコン的な歌を作ってみたい、と城田さんが提案し、作詞作曲(作曲はUTAさんとの共同)したものだそう。

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『SHOWTIME』左の怪しげな指揮者はいったい…⁈ (C)Marino Matsushima 禁無断転載

“切り離された世界で…涙止まらない夜をどれだけ過ごしてきただろう““支えようお互いを““信じよう 未来を”…と、このコロナ禍を生きる人々への共感と愛に満ちたメッセージが、やさしいメロディに乗せ、力強く客席に届けられます。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

もともと、今回の舞台は『シカゴ』上演25周年記念公演がコロナ禍で中止となってしまい、“こんな時だからこそ何かできることがないか”と思い立った米倉さんが、“フォッシー繋がり”の城田さんに声をかけ、生まれたものだそう。

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『SHOWTIME』(C)Marino Matsushima 禁無断転載

舞台挨拶の場で米倉さんは“(この舞台を観て)まだまだ楽しい人生が残ってると感じてほしい”、城田さんも“前向きに、いろいろなことを忘れて観てほしい”とコメント。まさに“2021年6月の今だからこそ”の、エンターテイナーたちの思いと心意気の詰まったショーと言えましょう。

(取材・文・撮影=松島まり乃)
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*公演情報『SHOWTIME』6月23~27日=東急シアターオーブ 公式HP