Musical Theater Japan

ミュージカルとそれに携わる人々の魅力を、丁寧に伝えるウェブマガジン

板垣恭一×永野亮比己 MTJクロストーク:目指す表現のために、諦めずに闘う。

(左)板垣恭一 演出家・脚本家。日大芸術学部演劇学科、第三舞台を経て演出家に。日本版脚本&歌詞・演出を担当した『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』が第27 回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。近作に『ヴァグラント』『GREY』『October Sky』『フランケンシュタイン』などがある。(右)永野亮比己 神奈川県出身。17歳で渡欧、ルードラ・ベジャール・ローザンヌでモーリス・ベジャールに学ぶ。後にNOISMに所属。その後劇団四季で『キャッツ』『ウィキッド』等に出演。『ウエスト・サイド・ストーリー Season 2』『ビリー・エリオット』『ジェイミー』『東京ラブストーリー』等に出演する傍ら、宝塚歌劇団などで振付も行う。


前作『ヴァグラント』では大正時代の労働運動を扱うなど、様々な舞台を手掛けている演出家・板垣恭一さんと、卓越したダンスを武器に劇団四季で活躍、近年は振付家、演出家としても知られる永野亮比己さん。これまで接点が無かった二人が、互いに新作舞台を控える中で、クロストークに挑みました。

当初は“ミュージカルの魅力”について掘り下げる予定でしたが、互いの来し方を語るうち、話は“演出の極意”“舞台を通して伝えたいこと”を巡って盛り上がることに。なかなか聞く機会の無い“クリエイターの本音”を通して、改めて“自分にとって舞台とは”を考えたくなるトークをお届けします! 


ミュージカルには“三種の神器”が揃っている  

――はじめに、自己紹介を兼ねてご自身のプロフィールをお話いただけますか?

永野亮比己(以下・永野)「僕は小学5年生の時に『THE CONVOY SHOW』を観てエンタテインメントに興味を持ち、6年生でジャズダンスを始めました。本公演もディナーショーも観て、出待ちもするほどコンボイ・フリークでしたが、特に舘形比呂一さんの踊りが好きで。板垣さんも舘形さんと同じ、日芸(日本大学芸術学部)のご出身ですよね?」

板垣恭一(以下・板垣)「卒業していないタイプの日芸です(笑)」

永野「舘形さんが『ボレロ』の曲を使って踊っていらっしゃるのを観て、僕もバレエを始め、17歳の時にモーリス・ベジャールの学校のオーディションを受け、運よく受かってローザンヌで3年学びました。

卒業してオーストリアのバレエ団に入り、『クレイジー・フォー・ユー』に出演したことでミュージカルへの興味が芽生え、劇団四季に入団しましたが、踊りへの興味が再燃しまして、Noismという新潟のカンパニーに2年間、所属。でもやっぱり『キャッツ』に出演したいと思い、劇団四季に戻って7年半くらい在籍しました。

5年前に退団してからは宝塚さんの振付をさせていただいたり、ホリプロさんの『ビリー・エリオット』『ジェイミー』『東京ラブストーリー』に出演させていただいたり。いっぽうで自身のプロジェクトを立ち上げ、ダンス・アクトを構成・演出・振付しています」

板垣「俳優さんだけではないのですね」  

永野「バレエ学校時代から創作の授業があり、定期的に作品は作っていました。ベジャールさんは“愛と生と死”をテーマにされていて、僕も共感してそのテーマで作品作りをしてきましたが、実際にプロジェクトを立ち上げてみると、マーケティングや他の業務も発生して、大変さを実感しているところです(笑)」  

板垣「メモをとりながら聞いていました(笑)。凄いですね、既に人生でいろんなものを見ていらっしゃる。

僕の経歴をばっと話しますと、高校3年の時に仲の良かった友達から“人が足りないから”と言われて演劇部に誘われたのが演劇との出会いで、日芸に入って2年の時に、同じ理由で第三舞台に誘われました。スタッフとして入団したら、鴻上(尚史)さんに“演出助手をやってくれ”と言われ、5~6年して“そろそろ演出家デビューするか”と機会をいただき、デーモン閣下の一悪魔芝居を演出しました。そこから2年ぐらい演出をやったのですが、もともと演出家になりたいと思ってなったわけではなかったので、演出が出来なくて。あまりにも恥ずかしくて“ごめんなさい”と演劇を辞めました」  

永野「そうだったんですね…」  

板垣「で、舞台の記録映像を中心に映像ディレクターをやっていたのですが、33歳ごろ、 “もう一度演劇やらない?”と言われてちょっとだけ欲が出て(笑)、今に至ります」 
 

板垣さんが手掛ける最新舞台『聲の形』稽古風景。写真提供:イッツフォーリーズ

 

――他のジャンルを経験したからこそ、ミュージカルのここが魅力だと感じることはありますか?  

板垣「もともとストレート・プレイをやっていて、その前に観ていた映画はニューシネマ以降の作品だったから、僕にとって演劇とは、リアルなことをする場だったんです。リアリズムの芝居では、“おはようございます”といいながら本当は相手が嫌い、みたいなことをお客さんが想像して楽しみますが、ミュージカルでは心の中の声として“私はあなたが嫌い”と歌い出すんですね。“言っちゃうの? それなら文法が根底から変わるぞ…”とはじめはびっくりしていましたが、重要なのはお客さんの中のリアルが動くということなので、ミュージカルで思い切り歌っても観ている人がリアルを感じるなら、歌を武器として使おう、と思うようになりました。

何の武器かというと、ストレート・プレイでは時の流れをテロップを出したりして説明する必要があるけれど、ミュージカルでは“100年経った~”と歌えば、一瞬でわかっていただける。時間軸の呪いからフリーになって、100年を一瞬で歌うことも、逆に一秒を何十分にも拡大することも出来るんです。ここがミュージカルの可能性だと感じます。何万年の話でも2時間のミュージカルで出来る。これは面白い表現方法だな、と思っています」

永野「台詞があり、言葉だけで伝わらない感情を伝える歌があり、踊りがある。三種の神器が揃っているところに、ミュージカルの魅力があると思っています。ミュージカルって楽しいですよね」

板垣「楽しいですよ。反面、時間を飛ばせるとか心の中を言いたい放題という、ある種“万能の道具”なので、安っぽく、陳腐になる危険もあります。なんでもできるからこそ相当注意しないとかっこ悪いものになっちゃう、という“取り扱い注意”のジャンルでもありますね」 


“稽古を引っ張って行く”極意 

 

永野さんが手掛ける最新作『UNIT-mask』life goes on~vol.4 稽古より。写真提供:LGO Project


永野
「今、取り組んでいるダンス・アクトでは、或る程度の構成を考えた上で、稽古場でクリエーションをしています。が、それにはキャストから熱量をもって放たれるものがあることが前提で、どうしたら彼らが“与える側”になれるのか。どう伝えたら彼らの心に響くだろう、というのが今の僕の課題です」  

板垣「それは僕も経験してきました。演出に復帰した時、“上手く”なって戻ってきた訳ではないので、俳優たちが誰も僕の言うことを聞いてくれない、という地獄を見まして(笑)。一生懸命説明しても届かないことがあって、“命かけてくれ!”“なんで動かないんだ”と怒ってましたね(笑)。でもさすがに、同じ仕事を2回辞めるわけにはいかないじゃないですか(笑)。で、どういえば俳優さんたちは動いてくれるのか、死ぬ気で考えました。

そして気づいたのが、思いは間違っていなくても、それは僕だからわかるわけであって、伝えるためには言語体系を変えないといけないということ。

そこでまず、感情の話はしないことにしました。よく“役の気持ちが…”というけれど、感情の話って、演技を引きだせないんです。例えば、一人のキャラクターがある女性を好きだとして、“好きなんだからこう見せてくれ”と言っても、俳優の声が枯れて行くだけです。そこで、“目の前に好きな子がいた時、何がしたい?“と聞きました。すると、“キスしたいです”と言う。“いきなりはしないでしょ?その前に何をするか。まず五感に翻訳してみよう。味覚と嗅覚は演劇では伝えようがないから外すと、視覚と触角と聴覚しかないよね。だったら、まず彼女を見たい?見たくない?”“見たいです”“声は聴きたい?”“聴きたいです”“触りたい?”“触りたいです”“いきなり触ったら痴漢だけど、触る前に何かやれることない?”“近寄りたいです”そこで“それだね!”となって、一歩近寄ってみると、観ている側に“好きなんだな”ということが伝わる芝居になるんです」  

永野「なるほど」

板垣「演技では、感情の上に“目的”と言うものが乗った総体の気持ちをしゃべっているんです。で、この目的がなぜ難しいかというと、日常では僕らは無意識で処理しているから、意識的にならないと自分が何をしたかわからない。だけど好きという気持ちだけは強く残るから、ただそれを強調するだけの芝居になっちゃうんです」  

永野「理由付けは難しいですね。僕らのダンス・アクトには台詞もあるのですが、役者たちは“こういう方向に作らなくちゃ”と意識すると、段階をふまずにAからBまで行こうとしてしまう。今、板垣さんのお話を聞いて“目的をきちんと持たせる”のが大事なんだと痛感しました」  

板垣「今、永野さんは、自分に起きたことを僕に伝えたいと思ってそういうふうに話してくださったんですよね。でもこれを感情に置き換えて、“わかった!”と表現したがる人が多いんです。“そうじゃなくて、僕に伝えたいから論理を構築して、なおかつ伝わりやすいように声のトーンをおさえたり、あるところを強調したかったらトーンをあげたり、ということをやっているからコミュニケーションは成り立つんだよ”というのが僕の考え方です」

永野「理想とする世界感を表現して欲しいという時に、キャストにそういう経験がなかったり、感性が違いすぎて先に進めない、ということもありませんか?」

板垣「そういう時も、僕は徹底的に例え話をします。“この役はここで本音を言えない。だから言葉を濁しているんだけど、わかる?”と投げかけて“わかりません”と言う人がいたら、“この仕事やりたくない、でもマネジャーに言いにくい、という状況なら?”と言うと、一発でわかってもらえます(笑)。でもいくら言葉を費やしてもピンとこない人もいて、そういう時は、その人が機能しなくても他の人で場が成立するように作ります。演出家だって神様じゃないし、時間には限りがありますから」  

永野「わかります(笑)」  

板垣「でも最初から色眼鏡で見ることはしません。闘ってくれる人だったらずっと励ますし、こうやってみたら?と言い続けます。もし闘わない人がたくさんいたらチームとしてヤバいけれど、それをどうやって防ぐかというと、自分が闘う人であれば闘う人が集まる確率が高くなる。そう考えるしかないです」  

永野「僕も熱量を大事に、個々の持っている輝きを舞台に乗せたいと思って、今回は敢えて、伸び盛りの人たちをオーデイションで選びました。稽古では僕とも泥臭くぶつかってくれて面白いです」  

板垣「技術的にうまければ面白い、というわけじゃないですよね。それより、(進化を)諦めてない人の方が、人前に立った時に“何かを感じてもらえる人”になれると思います」 


 “飲み会”は意外と大事⁈ 

『聲の形』稽古より。写真提供:イッツフォーリーズ

 

板垣「もう一つ、俳優たちに言っているのが、“お客さんは気持ちの部分が読めると興味を無くすよ”ということ。台詞では好きと言っていないけど好き、みたいな設定があった時に、役者は最初から“好き”みたいなことをやりがちです。それは間違いではないけど、それをやった瞬間にお客さんは“好きなんだな…”となって、もう聞いてくれない。だから、観ている人が何に興味を持っているかに興味を持った方がいいよ、と言います。主人公が月の話をしているのに、なぜか目線が熱い…なんていう時が、人間、観ていて一番興奮するじゃないですか。その後の台詞や歌詞で彼の“好き”が確定する時、お客さんは“やっぱり!”となるんです」  

永野「稽古場ではいい雰囲気が出来てきたけれど、あと一歩、みんなが自分の壁を越えてくれるといいなと思っているので、まずはシンプルな説明に方向転換してみようかな」

板垣「シンプルな説明で、相手の方の扉が“こういうことなんだ”と小さく開いた時が勝負どころです。“あなたはどういう人生を生きてきて、ここでなぜこう感じるの?“”と個人のストーリーを聞くと、思いがけないエピソードが出てきて、それが芝居と結びつくと、脚本なんてピューっと超えて、ものすごい演技が生まれるんですよ。

それが感動的なのは、観る側も作品を通して、自分の人生を見ているからであって、僕ら(演劇人)はお客さんにとっての“スイッチ“”にすぎない、というのが僕の持論です。恋愛ものが無くならない理由は、人類が恋愛をし続けるからであって、“死“”もそう。お客さんは近しい人を思って、作中の“死”に涙します。だからこそ、俳優の個人ストーリーを引き出すことは大事だと思っています」  

永野「稽古の後に飲みに行ってふと話してもらったことを、次の稽古でその人のパートに生かす、ということは僕らの作品でもやっています。もっと意識的にやってみるのもいいかもしれませんね」  

板垣「飲み会って、意外な扉が開いたりするから、すごく大事ですね。面倒臭い話も多いから、行きたくないと思ってしまうけれど(笑)」

永野「あと、鮮度の保ち方って難しくないですか? 劇団にいたときに、(ロングラン作品だったので)非日常の作品世界に無意識に入り込むことができなくなって、かなり意識してやっていました。今回も、二ヶ月くらい稽古している中で、みんなの中に慣れが生じていて、要注意だなと感じています」  

板垣「何かを再現しようとすると必ずパフォーマンスは落ちてくるし、飽きるものですよ。“飽きないように”という精神論になると、目が血走ってきます(笑)。

昔はみんなそういうことをやってたけど、今、僕は“その時しかできないことに興味を持ってほしい”と言っています。もちろん、最小限の体調管理は必要で、声が出ないとかは論外だけど、モチベーションが上がらない、体が重い…みたいなときでも、試合に出て、シュートを打てると信じて欲しい、それはそれまで積み重ねた稽古を、自分や仲間を信じるということだから、と。

演出家は権力者の立場にあると思われているから、うっかりしたことを言うと、皆は守らなきゃと思ってしまいます。頑張ってくれみたいなことを言い続けて、皆のパフォーマンスが落ちてくることに“何か違うな”と思って、今の言い方に変わってきました」 


 “崇高なレシピの料理”を“ラーメン”として発表する意図 

『UNIT-mask』life goes on~ vol.4 稽古より。写真提供:LGO Project

 

永野「今回、板垣さんとお話してみたいと思った理由の一つに、板垣さんの以前のインタビュー記事を読んでいて、“個人の感情に訴える作品は多いが、社会に対して訴える作品が減っていることが残念”というコメントへの共感がありました。今の時代、作り手の理念や思想はあまり出すべきではない、と言われますが、僕は中1の頃から観ていた演劇実験室◎万有引力や(映像で観た)天井桟敷の影響で、独自の世界観や思想的な部分を呈示することも大事だと思っています。

ただ、そういう作品は、観ようという強い意志を持った方以外にはなかなか届かない。もっと幅広い層の方に観ていただくには、どういう発信の仕方がいいんだろうと思っています」  

板垣「中1から万有引力を観ていたんですねぇ。

世の中でわかりやすいものが流行っているのは事実ですが、一つ言えることは、僕が若い時と永野さんの若い時では、情報量が違うんですよね。そして今の若い子たちはさらに膨大な情報に囲まれています。

例えば、聞いた話では、昔は頑張ればその年にやっているアニメは全部観ることができる程度の本数だった。でも今はオンデマンドもあって、全部のアニメを見ることは、物理的に不可能です。映画も、本もそう。昔は書評をチェックすれば、めぼしいものは全部読めたけど、今の人はLINEの小説とかまで含めたら全部読めないので、取捨選択が大事というところに来てしまっています。

僕らは取捨選択しながらも好きなものを掘り下げることができたけれど、今の若い人は“それどころじゃない”感じがします。いろんなものがありすぎて、わかりやすいものをやらないと、みんなのアンテナに引っかかりません。だからいきなりディープではなく、“嘘でも”わかりやすいものにすることが大事なんです。例えば、崇高なレシピを“ラーメン“”と言って売り出すと、ラーメンかと思ってうっかり食べてくれるじゃないですか(笑)。その中で、“これはラーメンじゃないな”と気づいてくれる人がいるかもしれない。エンタメの面白さって、そこにあると思うんです」

人生の深淵を描くということ

――ミュージカルの“これから”についてもお話出来たらと思いますが、お二人はどんな作品を作って行かれたいですか? 個人的には、ミュージカルの観客層を広げる、例えば熟年の男性に刺さるような作品も増えてくるといいなと思っています。 
 
板垣「そこは日本の文化全体の問題でもあって、日本では“未熟さ”が好まれる気風があるんですよね。僕は野球をやっていたので、王・長嶋がいるのになぜ高校野球が人気があるのか不思議でした。歌謡界についても、たどたどしい歌を歌う美少年が愛されていたりして、成熟したものを恐れる気風があるのかな。アニメでは人間の深いところを衝いた作品もあるのに、それに拮抗する、生身の人間が演じるドラマが舞台でどれだけ作られているのかというと、ちょっと痩せている状況であるのは否めないと思います。浅い話であったり目先の快楽だけ追求したエンタメもいいけれど、僕は“ラーメン”のふりをしながら、もうちょっと人生の深いところを追究したいですね」  

永野「僕も、表向きはわかりやすいけど、観ていくほど人生の深いテーマがあって、人の本質を衝いている作品をめざしていますが、同時に“アート”としても見ていただきたいんです。絵(ステージ上の構図)を作る時も、“ルーヴルに展示されている彫刻のように…”というふうに意識して作っています。演劇性とアート性のバランスのところでの葛藤はあります」  

板垣「絵も大事ですよ。バランスはきっととれていくと思います。とれていけば、さらにアーティスティック的なことも出来ると思います」 
 
――最後に、お二人が今、手掛けている作品についてお聞かせ下さい。 
 

ミュージカル『聲の形』

 

板垣「『聲の形』という、大今良時さんの漫画のミュージカル版に取り組んでいます。聴力に障がいのある女の子が小学校でひどい目に遭いますが、高校生になって、そのリーダーだった男の子が改心し、関係を作り直そうとする物語です。

僕は『小さき神の作りし子ら』という聾学校を舞台としたストレート・プレイが好きで、自分でも演出したことがあります。一つには手話の美しさにびっくりしたのと、聴こえる人と聴こえない人が本当に理解し合えるかというテーマが興味深くて。同じ作家なのですが、演劇版とハリウッド映画版(邦題『愛は静けさの中に』)では結末が違っていて、そういうところでも学びのある作品です。

『聲の形』もコミュニケーションの話なのかと思って読んだら、非常にヘビーであると同時にエンタメでもあり、素晴らしいなと思って劇団イッツフォーリーズのプロデューサーに提案しようとしたら、ちょうど彼もこの作品をと思っていたそうで。さっそく原作者さんに交渉したら、“ミュージカルだったら”と許可が下りたそうです。

原作は7巻まであって、ふつうにやったら6時間くらいかかりそうだけど(笑)、例によってミュージカルだと歌を使うことで、ワンコーラスで何年か飛ばせますから(笑)。作曲の桑原まこさんとは何度か組んでいますが、彼女は台本の意味をよく理解してくれる方なので、いい形にミュージカル化出来ていると思います」  

『UNIT-mask』life goes on~vol.4

 

永野「『UNIT-mask』life goes on〜vol.4という今回のダンス・アクトは、4部構成のオムニバスです。1部の“召使の逆襲”は、高圧的な態度をとられた女性が感情を出せなくなり、どうやってもとの自分に戻っていくかという物語。2部は、死後の人間の魂がどこに行くのかを描く“灰になる”、3部は“男たちの刹那”、そして4部は“カタルシス”というタイトルで、踊りと歌と芝居で描きます。キャストには存分に自分の熱量を出して表現してとアプローチしていて、残りの稽古で精度を上げて行くつもりです」 

板垣「面白そうです」

永野「お時間が合えばぜひいらして下さい。僕も板垣さんの舞台、拝見します!」 
 
(取材・文=松島まり乃) 
*無断転載を禁じます 
*公演情報 ミュージカル『聲の形』10月4~8日=サンシャイン劇場  公式HP 
UNIT-mask vol.4『life goes on』9月22~24日=シアター・アルファ東京 公式HP

*『聲の形』公演プログラムと、永野亮比己さんのポジティブ・フレーズ入りサイン色紙をプレゼント致します。詳しくはこちらへ。