Musical Theater Japan

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親子で観たい!この夏のミュージカル②『シュレック・ザ・ミュージカル』:おとぎ話に織り込まれた、胸熱くなるメッセージ

『シュレック・ザ・ミュージカル』撮影:阿部章仁

 

23年の夏休み、“子供とお出かけ、どこに行こう?”という方への、年代別お勧めミュージカル。2本目は、昨年大好評だったトライアル公演(観劇レポートはこちら)を経て、遂にフルバージョンで開幕した『シュレック・ザ・ミュージカル』をご紹介します!

4歳~
無邪気なおとぎ話に骨太のメッセージを織り込んだ『シュレック』

2001年に公開され世界的なヒットとなったアニメ映画を舞台化し、ブロードウェイやウェストエンドでも好評を博した『シュレック・ザ・ミュージカル』。沼のほとりでマイペースに生きていたシュレックが、平穏な暮らしを守るためファークアード卿の代理として“塔の上に囚われた姫”フィオナ救出の旅に出る…というお話です。台本はトライアル公演と基本的には同じですが、楽曲が増え、各キャラクターがより深く描き込まれており、魅力もいや増しています。(特にシュレックが旅の道中で出会い、相棒となるおしゃべりなドンキーのお茶目なこと!)

『シュレック・ザ・ミュージカル』撮影:阿部章仁

ドンキーやフィオナ姫との掛け合い、ファークアード卿のちょっとしたしぐさなど笑いのポイントが盛りだくさんで、客席の子供たち(そして元・子供たち)の笑い声が絶えない舞台…ではありますが、全編にマイノリティに対するメッセージが貫かれ、後半のナンバー「フリーク フラッグ」で明確に“(他と)違うことは強みなんだ”と、力強く発信されます。ユーモラスな展開を無邪気に楽しみつつ、自分の個性にちょっぴり自信が持てる、そして偏見を持つことの愚かしさを知ることができる、またとない機会。小さな子供にこそ体験してほしい作品です。

『シュレック・ザ・ミュージカル』撮影:阿部章仁

また、今回の公演は文化庁の子供文化芸術活動支援事業となっており、子供(4~18歳)に限り各回250席の招待枠が設定されています。(有料の大人用チケットも購入できます)。筆者は招待枠の客席近くで鑑賞しましたが、初めての舞台鑑賞だったらしく、途中でもぞもぞしていた低学年の男の子たちが、終盤のキャストの力強いコーラスに自然に引き寄せられ、前のめりになっていた姿が忘れられません。千穐楽の30日まで、まだチケットはあるようですので(27日時点)、お時間のある方はぜひご検討下さい。

(取材・文=松島まり乃)
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*公演情報『シュレック・ザ・ミュージカル』7月30日まで=日本青年館 公式HP