Musical Theater Japan

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『ETERNITY(エタニティ)』小池徹平インタビュー:“今、この瞬間にしか存在しないもの”の価値を信じて

小池徹平 86年大阪府出身。ミュージカルの主な出演作に『メリリー・ウィー・ロール・アロング』『デスノートTHE MUSICAL』『1789~バスティーユの恋人たち』『キンキーブーツ』『るろうに剣心 京都編』『ある男』『どろんぱ』がある。『DOPE』『科捜研の女』など、TVドラマにも多数出演。ウエンツ瑛士とのデュオWaTで音楽活動も展開、NHK紅白歌合戦にも出場した(2016年に解散)。ヘアメイク:加藤ゆい(フリンジ)スタイリスト:松下洋介©Marino Matsushima 禁無断転載


1960年代に一世を風靡したグラムロックスター“ブルードット”と、彼に憧れる現代の青年カイパー。古いレコードにカイパーが針を落とした瞬間、消えたはずのブルードットの歌声が蘇る。

それぞれに孤独を抱えた二人の人生が、過去と現在を繋ぐ神秘的な案内人マーマーにいざなわれ、音楽を通して交錯するが…。

 

2024年に韓国の演劇街・大学路(テハンノ)で誕生し、熱狂的な人気を博したミュージカルが、早くも日本に上陸。グラムロックのライブ感に満ちた舞台で、伝説のスター、ブルードットを(小西遼生さんとのダブルキャストで)演じるのが、小池徹平さんです。

韓国では完売が続出したというこの話題作は、いったいどんな作品なのか、そして日本版にはどんな趣向が加わりそうでしょうか。今年1月に韓国でご覧になった舞台の印象なども含め、たっぷり語っていただきました。

(前半が合同インタビュー、後半が個別インタビュー。合同インタビューについては、読みやすさを考慮し、一部Q&Aの順番を入れ替え、編集しています)

 

『ETERNITY(エタニティ)』

[合同取材]

――今回、小池さんが演じるブルードットは、伝説的なグラムロック・スターという設定です。小池さんは以前からグラムロックと接点はお有りでしたか?

「今回ご一緒する演出の河原(雅彦)さんがめちゃめちゃグラムロックを好きな方で、以前『ロッキー・ホラー・ショー』でご一緒した時、影響を受けて楽屋でずっと聴いていました。

グラムロックの印象としては、普通のロックとは違って、激しさというより、聴いていると体の中が熱くなってくるような感じですね。BGMにもぴったりだし、僕の中では、気持ちをじわじわと本番前にたぎらす音にちょうどいいように思います」

 

――出演が決まっての受け止めはいかがでしたか?

「どんな作品か全くわからなかったので、1月の頭に韓国での再演を河原さんと一緒に観させていただきました。伝説のロックアーティストの物語と聞いていたけれど、ちょっと変わった作品だな、というのが第一印象ですね。ミュージカルというより、どちらかというとライブのような作品でもあったので、新たなチャレンジになりそうだなと思いました。もちろんどういう作品であれ、リーダー(河原さん)が声をかけてくださるのは嬉しいし、やりたいなという思いはありました。

今回は曲はもちろん、台本も韓国と同じものになりますが、日本版では森雪之丞さんが訳詞をしてくださるので、より(日本のお客様に)届きやすくなっていると思います」

 

――(宣伝)ヴィジュアルも完成しましたね。

「ちょっと派手だけど(笑)、すごくかっこいいですね。五人組のグループみたいだけど、それぞれにタイプが全然違うから、(ダブルキャストの)組み合わせがすごく気になるかもしれません。

撮影の日はいろんな衣裳を着させていただいて、パンツ一丁もありました(笑)。
韓国版のブルードットは金髪のロン毛だったけど、今回は赤毛の、ミディアムくらいの長さで、(グラムロックの代表的スター)デヴィッド・ボウイみたいですね。“おお、リーダー(河原さん)好きそうだな。日本ならではの舞台を作ろうとしているんだな”と思って、テンションが上がったのをすごく覚えています。

僕はふだん、アイメイクとかはしないので、こういう、妖艶というかギラギラした感じにかっこよくしていただいて、すごく楽しかったです。薔薇だとか、小道具もいろいろ持ったし、黒い羽根のガウンを着たりもしました。

ただ、先日河原さんとお話していて、ひょっとしたら稽古の段階で衣裳や髪型は変わる可能性があると聞きました。まだこれで決定というわけではないと思います」

 

――メイクは本番ではご自身でされるのですよね。

「そうですね。どんなメイクにするか、相談してやっていこうと思っています。今回、ステージ上で自分でメイクをするシーンもあるのですが、そういう経験がないので、練習しなきゃなと思っています。ふだんは結構適当にパパパッとやってしまうのですが、今回はシーン的にも、希望を取り戻して再生する過程のメイクなので、美しくブルードットになってゆく様をきちんと伝えないといけないなと思っています」

 

――作品やブルードットという役柄についてどんな印象をお持ちですか?

「台本を読んだ段階では、難しい作品だなと感じます。時空を超えて音楽で繋がるという、ちょっとファンタジーな部分もあるし、宇宙に(地球の)音楽を届けたいという、ちょっとSFチックな要素も入っているし。

華やかなグラムロックの世界、きらびやかなステージの裏に、過去の生い立ちを含め、ブルードットが背負う強烈な孤独感もすごく漂っていて。彼は音楽や衣裳を通して身にまとっているものとは相反するものがある役だな、と感じました。二面性というか、ロックスターという一見強そうな存在に見えて、実はものすごく壊れやすくて繊細な役だな、という印象が今のところあります。忘れ去られてしまう恐怖も抱えていて、やっぱり愛を求めている人物なのかなと感じます」

 

――小池さんご自身も(WaTで)音楽活動をされていましたが、ブルードットの悩みに共感できる部分はありますか?

「彼とは全然違うタイプではありますが、曲を作らなければならないという焦りだったり、(出来上がった曲が)どう思われるかという不安みたいなものについては、共感できる部分はあります。生み出さなければならないという追いつめられる感じと、やりたいことをやっているのに、追われるもどかしさみたいな気持ちのニュアンスは、近しいところはあると思います。だから無理に(役を)作る必要はないという部分はあるかもしれません」

 

――時代に取り残されても自分の芯はブレない、という点はいかがですか?

「はじめは好きで始めた音楽なのに、次第に自分がやりたいことと求められることが変わってくるというもどかしさみたいなものとか、ただ書きたいものを書くだけじゃなくなってくるみたいなところだったり、どこか苦しくなってくるというのは、わかるかなという気がします」

 

――稽古を前に、課題ととらえていることはありますか?

「本当に新しいミュージカルになる予感がしています。どちらかというとライブに近い作品を、リーダー(河原さん)がどう演出するか、楽しみですね。予想としては、出演者も少ないので、シンプルなステージになってくると思っています。一人一人のポジションや見え方が如実に出るので、そこをどう見せていくのか。

韓国バージョンとは違って、日本バージョンではダンサーさんを入れようかなというアイディアもあるらしく、音楽でぶつけてくるだけじゃなくて、視覚的なわかりやすさもちょっと取り入れてくるのかなっていうニュアンスは感じています。 

歌詞の面でも、原詞では繰り返しになっているところを、雪之丞マジックというか、もうちょっと違う表現でわかりやすくしようというところも出てくるかもしれないし、いろんな面でオリジナルなバージョンが生まれそうな気がします」

 

――たくさんのミュージカルに出演されている小池さんですが、ここまでライブのような作品に出演されたことは…。

「無いです。曲数がかなり多くて、二十曲以上あるらしく、公演数がそこまで多くないのにダブルキャストでやる理由がわかります。休憩なしで濃厚な時間を突っ走るような舞台だと思うので、エネルギーの消費量がすごいんじゃないかな。

お客さんをブルードットのライブに来た方たちに見立てる演出もあったりするので、この作品ならではの一体感を楽しめると思います」

 

――日本初演に向けての意気込みをお聞かせください。

「河原さんがどんな演出を取り入れるかも楽しみですし、共演の方々は僕は今回、初めての方が多いのですが、ブルードット役もカイパー役もダブルキャストで全然タイプが違うので、日本ならではのものになるのではないかな」

 

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(公演PV)

 

――1月に観に行かれた韓国版について、もう少しお話いただけますか? もともと韓国にはよく観劇にいらっしゃっているのでしょうか。(質問・松島)

「いえ、韓国で観劇するのはその時が初めてでした。言葉はわからなくても面白いし、現地の役者さんにお会いして、日本でこの役をやらせていただくのでと挨拶させていただいたのですが、若い人たちがやっているのかと思いきや、割と僕に近い年代の役者さんが多くて、ちょっと安心しました(笑)。

向こうの皆さんはリハの段階からパワフルで、体がめっちゃ強いなというか、フィジカルの強さを感じましたね。本番じゃないのに疲れないの? と聞いたら、本番は毎日、空気感も違うし、会場での声の響きも確認したいからと言っていて。僕としては、本番で100%出すにはリハではそこまで本気で出来ないと思うけど、向こうの方にとっては熱量や、その日のライブ感、お客さんのノリをすごく大事にされているんだな、すごいな…とすごく刺激を受けたし、喋れてよかったと思いました。

その後に観た本番は最高でした。ライブ感重視のためか、音がめちゃくちゃ大きくて(笑)、最初はうわーって思ったけれど、だんだん慣れてきて、その音圧がすごく心地よくなってくるというか、音がダイレクトに来るので気持ちも盛り上がりました。日本の劇場ではここまで音がドカンと来ないから、これが韓国スタイルなんだなと、日本との違いを楽しみながら観劇させてもらいました」 

 

――韓国のお客さんたちは何を一番求めていらっしゃると感じましたか? 役者さんとの一体感でしょうか、その世界観への没入でしょうか。(質問・松島)

「どちらも楽しんでいるなという印象でした。 向こうの『ETERNITY(エタニティ)』は、やっぱりお客様を楽しませる分、お客様も、熱量というか、応援したい気持ちというのが声にもすごく出ていて、みんなで作っている舞台というか、お客様の熱量がすごく高いと感じました。

演出的にも、日替わりでいろんなイベントがあって、僕が観た日はカーテンコールの撮影OKだったので、皆さんカメラを持参していました。本来のカーテンコールはうわーっとライブみたいに盛り上がるそうなのですが、この日のカーテンコールは皆さん超真剣に一眼レフみたいなカメラを構えて、シーンとしていました(笑)。

他にもいろんなイベントがあるのでお客さんも飽きないし、俳優自身も楽しんでもらうためにいろいろと考えているそうです。向こうの役者さんと話した時に、ブルードットがオープニングで出てくる時のメイクは決まっているわけじゃなくて、メイクさんと自分たちで案を出し合って毎回変えているそうです。そしてその日替わりメイクを、お客さんもすごく楽しみにしているんですって。そういうことを日本版で取り入れるのも自由だと思うし、そういう遊びもあっていいんだな、というのは非常に大きな収穫だったなと感じています」


――今回のようにダブルキャストの時、何か意識することはありますか?

「いえ、特にはありません。寄せるというより、どちらかというと、自分は自分だから…という感じかな。おそらく小西君ともタイプが違うし、全く一緒にやってくれと言われても、多分僕ができないと思います。もちろん動きは揃えた方がいいと思いますが、表現は変わってきますから。でも稽古の時に(小西さんの演技を)観客として観られるのが、すごく楽しみです」

 

――本作では音楽が一つの救済となっていますが、小池さんご自身はお芝居や歌に、人を救う力があると思われますか? 

「もちろんです。 めちゃくちゃあると思います。やっている側として、観てくれた方たちの意見を聞くと、嬉しくなります。例えばファンの方から、この日のために休みをとって地方から来たけれど、この作品を観られて本当に良かったです、元気をもらって、明日からまた頑張れますというお便りをいただくと、ここに全てが詰まっているなと感じます。このためにこの仕事をやっていたんだな、と、僕自身、その言葉に元気をいただいています。

後輩の俳優からも、“徹平さんみたいな座長になりたいです。また共演できるよう頑張ります”と言われたりすると、すごく嬉しくなりますね。

今の時代、AIが(力を持つ)凄い時代になってきていますが、生の舞台って、嘘が無いから最高のステージもあれば、台詞を噛んだり、ちょっとハプニングがあって、そこで役者がどう対応するかを含め、全部がリアルな世界です。それを直接、自分の眼で見て感じてもらうというのは、やはり舞台の面白さであり、魅力なんだろうなと感じますね。

うちの子供たちも(長男が)小学生になり、その友達も観に来てくれるようになったのですが、普段の長男パパとしての僕と(舞台での姿が)あまりに違うので、観劇後のリアクションがどこかそわそわしていて(笑)。そんな彼らが、プロ中のプロが集まった舞台を観て、“あれ本当に死んじゃったの?”とか“あそこはどうなったの?”と素直に受け止めてくれていて、彼らに何かしら影響を与えられているんだなと思うと、改めて仕事冥利に尽きるなと感じています」

 

――前作『どろんぱ』では和風ミュージカルに挑戦されていましたが、今回はSFチックな作品です。こういった新しいジャンルのミュージカルが生まれていることに対して、どんな思いがありますか?

「めちゃくちゃ楽しいです。 いろんな作品をやらせてもらっていますが、オリジナル作品、オリジナルキャストとして主演を務めさせていただくことが多くて、大変さはあります。
最近はミュージカルのチケットも高くなってきていて、絶対面白いと言われている作品の方が安心というか、知らない作品にお金を出すことに対してのハードルがすごく上がってきているので、そこをどうやって満足していただくかというプレッシャーを、ここ数年、さらに感じてきています。

でも大変だからこそ、もうちょっとこうやったら面白いんじゃないですかと意見を出したり、こうやってみましょうかとやりとりしながら作っていくやりがいがすごくあるし、前回の『どろんぱ』にしても、お客様に喜んでいただけるように、あえてハードな道を自分で選ぶというか、お客さんが盛り上がるんだったらこれやりますみたいなことも結構ありました。今回に関しても、ダブルキャストではありますけど、自分が与えられてる役割に対しては、ストイックに挑んでいきたいなというか、パフォーマンスにおいても、芝居部分においても、求められたことにそれ以上応えられる努力はしていこうかなと思っています」

 

――これまで小池さんは様々な作品でいろいろな歌唱法を開拓され、例えば『デスノートTHE MUSICAL』では、Lのあの姿勢で歌うということを見事に実現されました。今回グラムロックを歌う上で、こんな声質にチャレンジしたいなといったアイディアはありますか?(質問・松島)

「今、歌番組のリハで、“ETERNITY”というナンバーを練習させてもらっていて、歌唱指導の先生からは、もうちょっとロック感を出してみましょうかと言っていただいているのですが、まだ慣れていないので、本当にこの歌い方でいいんだろうかという部分があります。

ミュージカルでは、僕は感情メインで歌うのですが、今回はアーティストとして楽曲を歌う部分もあるので、その辺りの歌い分けが結構難しいなと思っています。ミュージカルの時には、芝居の中で歌うので、歌詞を急に台詞っぽく発したりすることもあるけれど、今回はロックアーティストとして歌わなければいけない部分に、どこまで自分として寄せられるのか。僕が演じるブルードットとしてそれが果たして正解なのか、やってみないとわからない部分もあるので、語尾の使い方やニュアンスを工夫したり、ちょっと誰々風に歌ってみたり、いろいろチャレンジしたいなと思っています。

その中でいいものが見つかればそれを使うかもしれないし、意外と自分が作ったブルードットの歌い方がシンプルで、やっぱりそれがいいよねとなるかもしれないので、そこはちょっと探っていこうかな、と。まだまだ違和感はありますが、少しずつロックっぽい“癖”を入れた歌声を作っています」

 

小池徹平さん。©Marino Matsushima 禁無断転載


[個別取材]

――本作の台詞の中には、現代を生きる青年カイパーが、憧れのブルードットについて語る“僕が部屋で一人膝を抱えていた時、唯一そばにいてくれたのがブルードットの音楽”という一節があります。小池さんにとってそのように、人生の支えとなった音楽はありますか? 

「もちろん音楽は子供のころから大好きでずっと聴いてきたし、自分でもやってきましたが、その中でも大事な存在が、僕にとっては“ゆず”さんです。

中学生の時だから、15歳くらいかな。ゆずさんの音楽を聴いて初めて、聴くだけでなく自分も演奏してみたい、ギターをやってみたいと思えたんです。だから僕のアーティストとしての原点は、ゆずさん。ゆずさんがいてくれたからこそ、いろんな出会いがあり、ギターをやることになって、ストリートをやって、(ウエンツ瑛士さんと)WaTを組むことになって…。全てがそこに繋がっているので、お二人がいてくださったから、今の僕があるのかな、と思っています」

 

――もう一つ音楽関連の質問です。本作では、NASAが人類を代表する音楽を選ぶことになり、ブルードットが自分の作品が選ばれることを期待するくだりが登場します。もし小池さんが宇宙に向けて、“これが地球の音楽だ”と紹介するとしたら、何を選ばれますか?

「“これが地球の音楽”…って、難しいなぁ。星の数ほどある曲の中から、一曲を選ぶんですよね。好きな曲がたくさんあるから、選ぶのは難しいです。

でも今、ふとマイケル・ジャクソンが参加した“We Are The World”(1985年に45人の有名アーティストが参加してリリースされ、世界的な大ヒットとなったチャリティ・ソング)が思い浮かびました。ダンス・ミュージックもいいけれど、こういう、平和を願う曲っていいじゃないですか。

でもいっぽうで、マイケルの“スリラー”を聴かせて宇宙人をビビらせるというのもありますね。地球人、手ごわいぞって(笑)」

 

――そうですね(笑)。ところで本作では、自分の存在を“永遠化する”ということがテーマの一つになっています。同じ表現者として、そういう感覚が“わかるな”という部分はありますか?

「僕としては今、そこまでの思いは無いかもしれません。昔は、特に映像作品は形に残しやすいので、自分の出演作品がDVD化されて残ってほしいという思いがありましたが、その後舞台に出演するようになって、お客様に生で観ていただいてその公演自体は儚く消えるというのもいいものだな、と思うようになりました。

決して残るもの全てがいいというものでもなくて、いつでも繰り返し見られるものより、今この瞬間にしか観られないものには大きな価値があるな、と思ったりしています」

 

――現時点で、『ETERNITY(エタニティ)』がどんな舞台になったらいいなと思われますか?

「やっぱりお客さんがライブとして楽しんでもらえることが、最終目標なのかなと思っています。 ミュージカル作品ではありますが、ライブに近い、しかも体感型に近い作品だと思うので、とにかくお客さんが高揚感の中で“めっちゃ盛り上がったね、楽しかったね”と思って帰っていただけるように終われるといいな、と思います」

 

――最近のご活躍についても少しうかがえればと思います。常に新たな挑戦をされている小池さんですが、昨年出演された『ある男』では、“存在しているが、いない”という、非常に難しい役どころを演じられました(インタビューはこちら)。どんな手応えがおありでしたか? 

「原作小説のある作品で、主人公に追いかけられる、ある意味、幻想の中の人物を演じさせていただきましたが、(この人物を)ミュージカルで表現するという点で、いい感じにまとまったかなという手応えはありました。

(新作ならではの)生みの苦しみはありつつ、共演の方々にも恵まれましたし、浦井健治さん演じる(弁護士・)城戸との対比というか、影を持つ者同士で追い・追われる関係で、ついに“実はこうだったんだ”と真実がわかった時の、ストーリー的な盛り上がりもきちんと成立していたと思います。自分の中では、初演としてはうまく行ったのではないかな、と感じています」

 

――特に、一つのエンディングを見届けた彼が最後に見せる表情が、非常に印象的でした。あれは彼自身の表情だったのか、それとも城戸の想像の中での表情だったのかというのが興味深いところです。 

「基本的には御覧になった方の受け取り方次第かなと思いますが、僕の中では、城戸の想像する彼と、“彼の真実”を織り交ぜていました。どちらかというと“自分はこういう人間だった”という感覚で演じましたが、その短い間にどれだけの説得力を持たせられるのか、それまでほぼ歌でしか真実を表現することが出来なかったので、難しかったですね。すごくエネルギーを使ったことを覚えています」

 

――先ほど、座長としての体験をうかがいましたが、これからますます、小池さんの生きざまに触れる若い世代から、一人の表現者として、そして一人の大人としても憧れられることが増えて来るのではと想像されます。次世代に対してこんな背中を見せていけたら、と意識されることはありますか?

「尊敬されたいとか、憧れられたいという気持ちは全く無いです(笑)。前作の『どろんぱ』の時には現場の空気感として、みんなが心地よく、いいものが作れるといいよね、といろんな方とお話しながら進めていった結果、“徹平さんと一緒にやれて良かったです”と言っていただけたのかなと思います。僕的には、“みんなで楽しいものを作ろうよ”というスタンスで生きているだけですが、それでも喜んでいただけると、やっぱり嬉しいものですね」

 

――ご自身がもっと若かった頃には、“あんな先輩になりたい”と思えるロールモデルはいらっしゃいましたか?

「かっこいいなと思う先輩はたくさんいらっしゃいます。その中でも、よく一緒に遊んでくださった古田新太さんは、いい意味で“昭和”がずっと残っているというか、令和の時代になっても全く変わらない、ブレない芯があって。一緒にいても刺激を受けることが多いです」

 

――古田さんは最初に言及された『ロッキー・ホラー・ショー』に主演されていた方ですので、小池さんにとって『ロッキー・ホラー・ショー』がいかに大切な作品であったか、拝察されます。今回の『ETERNITY(エタニティ)』はその演出を担当された河原雅彦さんとの再タッグとあって、新たな記念碑的作品になりそうですね。

「そうですね。現時点では韓国版にどの程度寄せるのか、あるいは違いを出していくのかもわかりませんし、おそらく稽古場でも河原さんたちといろいろ試していくと思います。もしかしたら今日お話したことからがらっと変わる可能性も大いにあるので、全くの未知数というところを楽しみにしていただけたらと思います」

 

(取材・文・撮影=松島まり乃)
*無断転載を禁じます
*公演情報『ETERNITY(エタニティ)』7月10~26日=東京建物 ぴあ シアター、7が圧31日~8月1日=御園座、8月8~9日=東京建物Brillia HALL箕面 公式HP

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