Musical Theater Japan

ミュージカルとそれに携わる人々の魅力を、丁寧に伝えるウェブマガジン

『コレット』七海ひろきインタビュー:主人公を支えた男装の麗人“ミッシー”

七海ひろき 茨城県水戸市出身。宝塚歌劇団を退団後、俳優、声優、歌手として多方面で活動。主な出演作として、ドラマ「合コンに行ったら女がいなかった話」蘇芳役、「舞台『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語」歌仙兼定役、舞台「サイボーグ009」009/島村ジョー役、ミュージカル「七色いんこ」七色いんこ役など。また、声優としては、TVアニメ「マッシュル-MASHLE-」アビス・レイザー役など、幅広い役柄の声を担当している。


男性優位の時代に、常識や慣習に縛られず、さまざまな分野で道を切り拓いていったフランスの作家、コレット。自身の作品『ジジ』舞台化の際、オードリー・ヘプバーンを抜擢したことでも知られる彼女の半生を、タイトルロールに明日海りおさん、脚本・作詞・演出にG2さんを迎えて舞台化する新作ミュージカル『コレット』が、間もなく開幕します。

この舞台で男装の麗人、“ミッシー”を演じるのが、七海ひろきさん。宝塚音楽学校では同期で、歌劇団退団年も同じ二人の共演は大きな話題となっていますが、七海さんはどうとらえていらっしゃるでしょうか。作品について、ミッシーという役どころについて、そして明日海さんへの想いなど、さまざまにお話いただきました。

【あらすじ】19世紀末、ベル・エポックのパリ。田舎町で育ったコレットは、年上の人気作家ウィリーと結婚する。ウィリーは才能豊かなコレットにゴーストライターとして小説を書かせ、「クロディーヌ」シリーズは大ヒット。しかし、夫の名前で創作をすることにコレットは葛藤し、ついに独立。ミッシーに支えられ、自らの道を切り開いていくが…。

 

『コレット』


劇中のショーで、明日海さんと音楽学校ぶりに
一緒に踊るのが、とても楽しみです

――本作への参加は、どのような点が魅力でお決めになったのですか?

「お話をいただいた時に、明日海りおさん主演ですとうかがい、その時点で“お受けしたいです”とお答えしました。

明日海さんは宝塚の同期なのですが、お芝居をご一緒したことがほぼなく、退団してからは『エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート』で同じ舞台に立った形で、お稽古をがっつり一緒におこなったり、作り上げる形での共演したことはありませんでした。いつかご一緒したいと思っていたので、今回のお話はとても嬉しく、“有難うございます”と二つ返事でした」

 

――『コレット』という作品自体にも惹かれましたか?

「出演が決まった後、コレットという作家について詳しく知らなかったので、彼女に関する映画を観たり、資料を探してみたところ、あの時代に最先端の作家として、強い意志を持ってお仕事をされていた女性だったということや、オードリー・ヘップバーンさんを抜擢した方だとわかりました。

もっと彼女の人生を知りたい、そして周囲の人々、特に今回私が演じる、彼女と親交の深かったミッシーについても調べたいと思い、写真や資料を探し、どんどん内面の魅力に引き込まれていきました」

 

――七海さんが演じるミッシーは、ナポレオン3世の姪。本名はベルブーフ侯爵夫人とのことですが、コレットとはどのように交際されていたのでしょうか。

「(ミッシー自身によって)明記されているものは無いので断言はできないのですが、コレットが書き残した資料の限りでは、彼女はベルブーフ侯爵と結婚していたことがありますが、離婚し、コレットと出会って彼女と一緒に暮らし始めたそうです。

当時は女性がズボンを穿くことが禁止されていた時代ですが、自分は本当の自分として生きたいという思いから、ミッシーはズボンを穿いていました。世間では“男装”と言われましたが、私は彼女にとって、それが自然なことだったのかなと思います。

自分が着たいものを着て過ごすというのは、今であれば普通のことだと思いますが、当時はそうではなかった。ズボンを穿くことによって彼女が世間からどういわれ、それに対してどう感じたのか…。想像の域でしかないのですが、あくまで自分が生きたいように生きたというのが、ミッシーの魅力だなととらえています」

 

『コレット』ミッシー(七海ひろき)


――二人は互いのどんな点に惹かれたのだと思われますか?

「これも想像の範囲ではあるのですが、ミッシーとしては、彼女の文才はもちろん、女性が生きづらさを抱えていた時代に、彼女が作家として強く生きていこうとした点に共感したのではないかなと思います。そしてコレットも、世間の圧力に屈することなく、生き方を貫こうとするミッシーに惹かれたのではないでしょうか。お互いの(精神的な)強さに惹かれあった気がします」

 

――劇中、コレットとミッシーがショーで共演するシーンがあるとうかがっています。見どころの一つになりそうですね。

「コレットが舞台に立つことに興味を持ち始め、それにミッシーが寄り添ったことで、実際に(史実でも)二人はショーを行ったそうです。

今回、御覧いただくのは『エジプトの夢』というシーン。ミッシー扮する冒険家が不思議な世界に誘われ、コレット演じる夢の中の女性と出会うようなものになるのかな、と思います。明日海さんと一緒に踊るのは音楽学校ぶりだと思いますし、二人で踊るというのは初めてなので、私自身、とても楽しみにしています」

 

――明日海さんとはもともとお親しい仲だったのですか?

「音楽学校の同期ということで、寝食を共にしていたからこそ仲良くしてもらっていて、在団中もよく稽古場で会うたびに声をかけあったり、稽古場で自主練をしている時に、隣の稽古場を見たら明日海さんがいたということが結構ありまして、“次の作品はどんな感じ”とお喋りしたりということもありました。

お互いの舞台も観ていましたし、同期会というのが年に一度ありまして、今年一年どうだったねとみんなでお話するので、そこで盛り上がったり。退団してからも旅行に行ったり、映画に行ったり、お茶に行ったり…と、仲良くしてもらっています」

 

――表現者として刺激を与えあったりも?

「明日海さんの(私に対する)見解はわかりませんが(笑)、在団中、私は明日海りおさんの、お客さんを引き込む力や表現力豊かなお芝居が大好きで、本当に素敵な方だと思っていました。

そして退団してからもTVドラマ、コンサートを含めいろいろな分野で活躍されている姿、いろいろなアプローチをしながらお芝居をされている姿、また舞台上での彼女の集中力がお客さんに移っていくさまも拝見してきました。表現者として、明日海りおさんをとても尊敬しています」

 

『コレット』


――現時点での稽古の手応えはいかがですか?

「まず、カンパニーの力がすごく強いなと思っています。明日海りおさんをはじめ、お一人お一人が確立した自分の表現力をお持ちで、それが役とリンクする部分もありますし、アンサンブルの皆さんも個性が豊かで、稽古場で観ていても“今日は誰を観ようかな”というくらい、目が足りない、楽しい作品になっています。

また、大東立樹さんはベルトランはじめいくつかの役を演じ分けるので、大変かと思うのですが、それを体当たりで取り組まれている姿が爽やかですし、(同じく宝塚出身の)花乃まりあちゃんや大月さゆちゃんとご一緒できるのも嬉しく思っています。

きっと一度観たらもう一度コレットの人生を振り返りたいなと思ったり、本当に波乱万丈な物語なので、調べ物をしたりするのがお好きな方なら、時代背景を調べたくなるような作品になるのではないかな、と思います」

(取材・文=松島まり乃)
*無断転載を禁じます
*公演情報『コレット』8月6日~17日=日本青年館ホール、8月21~24日=梅田芸術劇場メインホール 公式HP
*七海ひろきさんのポジティブ・フレーズ入りサイン色紙をプレゼント致します。詳しくはこちらへ。