時は大正。炭売りの少年・竈門炭治郎は、ある日家族を皆殺しにされ、唯一生き残った妹・禰󠄀豆子も鬼にされてしまう。
妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、炭治郎は壮絶な訓練を経て、“鬼殺隊”の一員に。
仲間たちとともに各地で鬼と闘い、潜入した遊郭では初めて“上弦の鬼”を倒した炭治郎は、新たな刀を求め、刀鍛冶の里へ。
しかしそこには秘密裏に、半天狗と玉壺という、二人の“上弦の鬼”が侵入し、人々を殺し始めていた。
炭治郎は禰󠄀豆子や同じく鬼殺隊の不死川玄弥、霞柱の時透無一郎や恋柱の甘露寺蜜璃と力を合わせ、鬼たちと闘う。
一方、遊郭の件で約百年ぶりに上弦の鬼を殺されたことに怒った“鬼たちの祖”鬼舞辻󠄀無惨は、本拠地である無限城に、上弦の鬼たちを緊急招集。配下最強の鬼たちである、猗窩座、童磨、そして黒死牟が現れるが…。
単行本の累計発行部数が1億5000万部を超え、アニメ版も大ヒットした吾峠呼世晴さんの漫画『鬼滅の刃』の舞台版第五弾が開幕。東京公演を経て、27日まで兵庫で上演中です。
脚本・演出は今回から、元吉庸泰さんにバトンタッチ。
傷ついても再生能力のある鬼たちに対して、人間は弱く、いつか必ず死ぬ…。
圧倒的に不利な前提がある中で、“自分は滅んだとしても必ず誰かが思いを繋いでくれる”と信じ、千年にわたって鬼と闘ってきた人間たちの、清冽な精神を凝縮した原作の台詞の数々が割愛することなく、ちりばめられています。
戦闘シーンではワイヤーアクションを多用、しかもコンパクトなステージで複数の闘いが同時進行することで、スリルが増幅。加藤和樹さん（黒死牟）、蒼木陣さん（猗窩座）、浦井健治さん（童磨）の映像出演が話題となっていた無限城の演出も、映像と生身の俳優たちを組み合わせ、歌を交えながら次々にフォーメーションを変える凝ったものとなっています。冒頭では（続投の和田俊輔さんによる）新たな音楽的挑戦が見られ、また終盤の禰󠄀豆子を巡るクライマックスでは、意表を突いた音の使い方で、場内全体が息を呑む光景が生まれています。
阪本奨悟さんの代役で急遽、炭治郎を演じた橋本祥平さん、本作で大きな“成長”を見せる禰󠄀豆子役の髙橋かれんさん、無一郎役の下村未空さん、蜜璃役の川崎愛香里さん、玄弥役の内海太一さん、鋼鐵塚蛍役の宇野結也さん、この日の小鉄役・武井ダマセノ瑠珂さん（髙橋翔大さんとのダブルキャスト）、半天狗役の風間由次郎さん、玉壺役の川﨑優作さん、憎珀天役の糸川耀士郎さん（橋本祥平さんの代役）、そして無惨役の佐々木喜英さんら、出演者もそれぞれに熱演。続編が待ち遠しい舞台となっています。
（取材・文・撮影＝松島まり乃）
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＊公演情報 4月11～20日＝天王洲銀河劇場、4月25～27日＝AiiA 2.5 Theater Kobe 公式HP LIVE 配信 4月27日13時公演、18時公演 (DMM TV)
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