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『CLUB SEVEN another place』観劇レポート:至福の“エンタメ玉手箱”2024年版が開幕

『CLUB SEVEN another place』年度によって微妙に異なる“キメ”ポーズにも注目が集まります。©Marino Matsushima 禁無断転載

ソング&ダンスに芝居、タップ、ミュージカル、スケッチと多彩な要素を取り入れ、2003年の初演以来、多くのファンを魅了してきたエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』。21年目となる今年は9月22日、『CLUB SEVEN another place』のタイトルでシアター1010にて開幕し、28日からは有楽町よみうりホールで上演されます。

 

『CLUB SEVEN another place』本シリーズに欠かせない、玉野和紀さんのタップ ©Marino Matsushima 禁無断転載


トータル・クリエイターとして脚本・構成・演出・振付を務める玉野和紀さんと、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんの“レジェンド”メンバー。これまでも出演歴のある大山真志さん、北翔海莉さん。そして初参加の林翔太さん、鈴木凌平さん、留依まきせさんという、実力と “華”を併せ持つ9人が(休憩含め)3時間余りにわたり、観る者をとことん魅了する舞台をレポートします!

 

『CLUB SEVEN another place』スケッチにはシリーズ初の時代劇が…⁈©Marino Matsushima 禁無断転載

お馴染みのオープニング曲が場内に響き渡り、メンバーたちが登場。全員でひとしきりスタイリッシュに踊ると、玉野さんの軽やかなタップを起点とした、ジャジーなナンバーが続きます。同じ振付で踊っていても、メンバーたちは“役”ではなく“自身”として踊っているため、おのずとそれぞれの個性が浮き彫りとなっているのが見どころ。

 

『CLUB SEVEN another place』噂話をしながら延々と…。 ©Marino Matsushima 禁無断転載

オープニング後の1幕はスケッチ集と本作の“愛されキャラ”こと玉子(玉野さん)とニャンコ(西村さん)のトーク、ダンスで構成され、最後は一同の爽やかな歌声で締めくくられます。

 

『CLUB SEVEN another place』玉子とニャンコによるペンライトの使い方指南も⁈©Marino Matsushima 禁無断転載


スケッチ集には笑いの絶えない一場もあれば、ちょっぴりホラー味のあるブラック・コメディ、ほろりとさせる作品も。ふり幅の大きな“あんな役、こんな役”を大真面目に、かつ楽し気に演じるメンバーたちの(早変わりを含めた)鮮やかな演じ分けを堪能できるひとときとなっています。

 

『CLUB SEVEN another place』お馴染みの名場面も ©Marino Matsushima 禁無断転載

中でも北翔さん、玉野さんらが演じるハートウォーミングな物語を、吉野さんが歌語りで包み込む作品に得難い味わい。いっぽう本作恒例の“無茶ぶり”コーナーでは、無茶ぶりされたメンバーが“火事場の何やら”で会心のネタを繰り出すか、場内が一体となって見守ります。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載

玉野さん、吉野さん、東山さん、西村さんの“レジェンド”メンバーは硬軟自在のパフォーマンスで『CLUB SEVEN』ワールドを体現し、大山真志さんはコメディ・センスとパワフルなダンス、北翔海莉さんは“形”の美しさとふんだんな遊び心を存分に発揮。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載


また初参加の林翔太さんは一瞬で空気を変える台詞の巧さとダンス・ナンバーでの“粋”の表現が光り、鈴木凌平さんは初参加らしからぬ(⁈)思い切りの良さで、レギュラーメンバーさながらに作品に溶け込み、留依まきせさんも弾むような歌声と明るい持ち味で舞台をカラフルに彩ります。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載


2幕では本作の“部長”こと玉野さんの司会で全員が登場し、トークを展開。そして遂に、お待ちかねの“50音順ヒットメドレー”がスタートします。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載


最新ヒット曲や“懐かしのあの曲”をメンバーたちが五十音順に披露して行くのですが、そこは『CLUB SEVEN』のこと、シンプルにメンバーがマイクを持って歌う…という形では終わりません。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載


ひと捻りを加えたシチュエーションで細かく(時には大きく)笑いを誘いながら、メンバーたちが怒涛のように歌い継いで行きます。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載

玉野さん曰く、その数実に95曲、『CLUB SEVEN』史上最多とのこと。

 

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載


メドレーの最後に歌われるのはこれも恒例の、あるナンバー。しっとりとしたコーラスが染み入ったところで、メンバーたちはオープニングで歌い踊ったナンバーを再び披露します。

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載

彼らのクールな“キメ”ポーズの残像と、大いに笑った後の晴れやかさとともに帰途につくことのできる、まさに“エンタテインメントの玉手箱”と呼ぶべき舞台です。

『CLUB SEVEN another place』©Marino Matsushima 禁無断転載

(取材・文・撮影=松島まり乃)
*無断転載を禁じます
*公演情報 『CLUB SEVEN another place』9月22~23日=シアター1010、9月28日~10月13日=有楽町よみうりホール 公式HP (プログラムにはA、Bの2バージョンがあり、1幕の内容が一部異なります。本稿ではAバージョンを取材)